年収600万円という数字を聞いて、あなたはどのような印象を持つでしょうか。

日本の給与所得者全体の中では上位層に位置する水準であり、「勝ち組」と呼ばれることもある年収帯といえます。

しかし、実際に毎月の口座に振り込まれる金額は、額面の年収600万円からさまざまな控除が差し引かれた手取り額となります。

この記事では、年収600万円の手取り月収がいくらになるのか、具体的な計算根拠とともに解説します。

また、年収600万円を得ている人の割合や、ボーナスありの場合の手取り計算、一人暮らしの場合の生活レベル、さらには将来の資産形成に向けた不動産投資の可能性まで、幅広くお伝えしていきます。

INVASE事業責任者・渕ノ上(ふちのうえ)

コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社 取締役CSO

株式会社FFP 代表取締役

立教大学法学部法学科卒業。在学中より法律系予備校に通い法律を学ぶ。大学卒業後コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業すると同時に不動産コンサルタントとしても業務を開始、不動産関連法律資格の講師として活動。

【保有資格】

不動産コンサルティングマスター / 宅地建物取引士 / マンション管理士 / 管理業務主任者 / AFP / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / マンション維持修繕技術者 / マンション建替士

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年収600万円の額面と手取りの違いを理解する

年収について調べていると、額面と手取りという2つの言葉が出てきて混乱することがあります。

転職サイトや求人情報に記載されている年収は基本的に額面年収であり、実際に銀行口座に振り込まれる金額とは異なります。

この違いを正しく理解しておかないと、生活設計や資産形成の計画に狂いが生じてしまいます。

ここでは、額面と手取りそれぞれの意味と、年収600万円の場合にどの程度の差が生まれるのかを確認していきましょう。

年収600万円の額面とは総支給額のこと

年収600万円の額面とは、会社から支給される総支給額のことを指します。

ここには基本給だけでなく、残業代や各種手当、賞与なども含まれています。

源泉徴収票に記載される「支払金額」がこの額面年収に該当し、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。

額面年収は転職時の年収交渉やローン審査の際に基準となる重要な指標となりますので、自分の額面年収を正確に把握しておくことが大切です。

手取りは控除後の実際に受け取る金額

手取りとは、額面から社会保険料や税金が差し引かれた後に、実際に受け取れる金額のことです。

具体的には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などが控除されます。

年収600万円の場合、一般的な目安として手取り額は約460万円から480万円程度になります。

つまり、額面の77%から80%程度が手取りとして残る計算です。

この割合は、扶養家族の有無や加入している健康保険組合、住んでいる自治体によって変動します。

年収600万円の手取り月収を具体的に計算する

額面と手取りの違いを理解したところで、次は具体的な計算に入っていきましょう。

年収600万円から毎月どれだけの金額が差し引かれ、最終的にいくら手元に残るのかを把握することは、家計管理の基本となります。

ここでは社会保険料と税金に分けて、それぞれの負担額を詳しく見ていきます。

年収600万円ボーナスありの手取りと月収の計算

年収600万円から実際の手取り月収を算出してみましょう。

賞与が年2回で合計4か月分支給される一般的な給与体系を想定すると、月額の総支給額は約37万5,000円となります。

なお、社会保険料は標準報酬月額をもとに計算され、加入する健康保険組合や都道府県によって料率が異なる点に注意が必要です。

実際の保険料は等級ごとに決まるため、以下の金額は概算となります。

健康保険料は都道府県や加入先によって異なりますが、協会けんぽの場合、令和7年度の東京都の健康保険料率は9.91%で、本人負担は原則その半分である約4.96%が目安となります。

また、40歳から64歳の方は介護保険料率(令和7年度は1.59%)が上乗せされます。

厚生年金保険料は18.3%の労使折半で本人負担は9.15%となり、月額約3万4,300円です。雇用保険料率は年度により見直されますが、令和7年度の一般の事業では労働者負担は0.55%で、月額約2,060円が目安となります。

これらの社会保険料を合計すると、毎月約5万5,000円から5万7,000円程度が控除されることになります。

出典:全国健康保険協会「令和7年度保険料率のお知らせ」
出典:全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」
出典:日本年金機構「厚生年金保険料額表」
出典:厚生労働省「令和7年度雇用保険料率のご案内」

年収600万円の手取り25万円は本当か?所得税と住民税の負担額

次に税金について見ていきます。

所得税は、年収(額面)から給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除などを差し引いた「課税所得」に、累進税率をかけて計算されます。

所得税の税率は5%〜45%の7段階です。

独身・扶養なし・大きな追加控除なしのモデルケースでは、年収600万円の所得税(復興特別所得税を含む)はおおむね年20万円台になることが多く、月あたりに均すと1万数千円程度が目安です(控除状況により前後します)。

住民税は前年所得に基づき、原則「所得割10%+均等割(多くの自治体で年5,000円前後)」で計算されます。

モデルケースでは年32〜34万円前後(月あたり2万6千〜2万8千円程度)を目安にしておくとよいでしょう。

以上を踏まえると、年収600万円の手取り月収は、ボーナス配分にもよりますがおおむね28万〜30万円程度が一つの目安になります。

「年収600万円で手取り25万円」という情報を見かけることがありますが、これはボーナスの比率が高い場合の月々の手取りとしては、やや低めの見積もりといえます。

※税額は扶養の有無、各種控除、自治体、年ごとの制度改正等で変動します。

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
出典:国税庁「給与所得者と税」

年収600万円は勝ち組なのか?割合から検証する

年収600万円という金額が日本の中でどのような位置づけにあるのかを知ることも重要です。

自分の収入が平均と比べて高いのか低いのか、また同じ年収帯の人がどれくらいいるのかを把握しておくと、キャリアプランや資産形成の目標を立てる際の参考になります。

ここでは公的な統計データを基に、年収600万円の分布状況を確認していきます。

年収600万円は上位何%に入るのか

年収600万円を稼いでいる人は、日本全体でどの程度の割合を占めているのでしょうか。

国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円で、男性587万円、女性333万円となっています。

また給与階級別の分布を見ると、年収600万円超700万円以下の割合は男性10.3%、女性4.0%、全体7.6%です。

さらに年収600万円以上の階級(600万円超〜)を合計すると全体で約24.9%となり、年収600万円はおおむね上位4分の1に入る水準だといえます。

この数字を見ると、年収600万円は「勝ち組」と呼ばれることがあるのも納得できる水準です。

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

年収600万円の職業と年齢による分布の特徴

年収600万円に到達している人はどのような職業に就いているのでしょうか。

一般的に、大手企業の総合職、金融機関、IT企業、コンサルティング会社、製薬会社などで年収600万円以上を得ている人が多い傾向にあります。

また、公務員や教員も勤続年数を重ねることで年収600万円に到達するケースがあります。

注目すべきは年齢による分布であり、20代で年収600万円に到達している人の割合は非常に限られています。

多くの場合は30代後半から40代にかけてこの年収帯に到達します。

これは、昇給や昇進によって徐々に年収が上がっていく日本の雇用慣行を反映しています。

年収600万円で生活は苦しいのか、一人暮らしはきついのか

年収600万円で実際にどのような生活が送れるのかは、多くの方が気になるポイントでしょう。

「年収600万円で生活が苦しい」「一人暮らしがきつい」という声がインターネット上では見られますが、実際のところはどうなのでしょうか。

ここでは具体的な支出内訳を示しながら、年収600万円の生活レベルを検証していきます。

年収600万円の一人暮らしで生活が苦しいと感じる理由

年収600万円で一人暮らしをする場合の生活レベルについて、具体的な支出内訳を見ながら検討してみましょう。

手取り月収を約29万円と仮定すると、住居費の目安は8万7,000円となります。一般的に手取りの3割以内に抑えることが推奨されているためです。

東京23区内でも、エリアを選べば1Kから1LDKの物件を借りることができる水準です。

しかし、都心の人気エリアや広めの物件を希望する場合は、家賃だけで10万円を超えることも珍しくありません。

「年収600万円で一人暮らしがきつい」と感じる方の多くは、住居費が手取りの4割以上を占めているケースが見られます。

住居費を適切にコントロールすることが、生活の質を保つ上で最も重要なポイントとなります。

年収600万円で生活が苦しいと感じないための支出管理

食費は一人暮らしで月4万円から6万円程度が平均的で、自炊中心なら3万円台に抑えることも可能です。

水道光熱費は月1万円から1万5,000円、通信費は月8,000円から1万2,000円程度が目安となります。

これらの固定費を合計すると月額15万円から18万円程度となり、残りの11万円から14万円は交際費、被服費、趣味、貯蓄などに充てることができます。

「年収600万円で生活が苦しい」という声の背景には、住居費の高騰だけでなく、生活水準を年収に合わせて上げてしまうライフスタイル・インフレーションも影響しています。

年収600万円の一人暮らしの生活レベルは、支出管理をしっかり行えば、余裕を持った生活を送りながら将来への貯蓄や投資も可能な水準といえます。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「月々の生活費は平均していくらくらい?」

年収600万円から始める資産形成の考え方

年収600万円の手取りで生活しながら、将来に向けた資産形成を進めることは十分に可能です。

しかし、ただ漫然と貯金をしているだけでは、インフレや将来の不確実性に対応しきれない可能性があります。

ここでは給与収入だけに頼ることのリスクと、資産形成の基本的な考え方について解説します。

給与収入だけに頼るリスク

年収600万円の手取りから毎月一定額を貯蓄に回すことで、将来に向けた資産形成を進めることができます。

しかし、給与収入だけに頼る働き方では、病気やリストラなどの予期せぬ事態に対応できないリスクがあります。

また、老後の年金だけでは生活費を賄えない可能性も指摘されており、現役時代から複数の収入源を確保しておくことが重要です。

預貯金だけでは低金利環境において資産を大きく増やすことは難しく、投資による運用を検討する方も増えています。

投資の選択肢を知っておく

資産形成の選択肢としては、株式投資、投資信託、債券、そして不動産投資などがあります。

それぞれにメリットとデメリットがあり、自分のリスク許容度や投資目的に合った方法を選ぶことが大切です。

株式投資は値動きが大きく短期間での利益も狙えますが、損失リスクも高くなります。

投資信託は分散投資が可能で初心者にも取り組みやすい一方、手数料がかかります。

不動産投資は毎月の家賃収入が得られる点が特徴であり、長期的な資産形成の選択肢として検討される方も多くいらっしゃいます。

年収600万円で不動産投資は可能なのか

資産形成の選択肢の中でも、不動産投資は年収600万円の方にとって有力な選択肢の一つです。

ローンを活用することで自己資金以上の資産を保有でき、家賃収入という収益源を確保できる可能性があります。

ここでは年収600万円で不動産投資を始める際のポイントについて解説します。

不動産投資ローンの審査基準

年収600万円は、多くの金融機関において不動産投資ローンの審査対象として検討される水準といわれています。

もちろん、年収だけでなく勤務先の安定性、勤続年数、他の借入状況なども審査では重視されますので、条件によっては審査が通らないケースもあります。

年収600万円の場合、条件が整えば区分マンション1戸から複数戸の不動産投資を検討できる余地が出てきますが、物件価格やエリア、自己資金の有無によって実現性は大きく左右されます。

借入可能額の目安を把握する

不動産投資を始めるにあたって、まず知っておきたいのが自分の借入可能額です。

一般的に、不動産投資ローンの借入可能額は年収の7倍から10倍程度といわれることがありますが、これはあくまで目安であり、個人の属性や物件の評価、返済比率などによって大きく変わります。

年収600万円の場合、年収倍率だけを基準にすると4,000万円台後半から6,000万円程度まで借りられるように見えることもありますが、実際には金融機関の審査を通じて、より保守的な金額に落ち着くケースが多いのが実情です。

無理のない返済計画を立てるためにも、事前に正確な借入可能額を把握しておくことをおすすめします。

不動産投資で得られるメリット

不動産投資には、他の投資手法にはない独自のメリットがいくつかあります。

給与収入に加えて副収入を得られる可能性があるだけでなく、税制面でのメリットも期待できます。

ここでは不動産投資の代表的なメリットについて詳しく解説します。

毎月の家賃収入というインカムゲイン

不動産投資のメリットとして挙げられるのは、入居者からの家賃収入という形でインカムゲインを得られる可能性があることです。

株式の配当金と比較すると、家賃収入は相対的に景気変動の影響を受けにくいといわれることがありますが、空室や賃料下落、金利上昇などの影響は受けます。

給与収入に加えて家賃収入という第二の収入源を持つことで、経済的な安定感を高められる可能性があります。

物件売却によるキャピタルゲイン

不動産投資では、家賃収入(インカムゲイン)に加えて、物件を売却した際に得られる売却益(キャピタルゲイン)も期待できます。

購入時よりも高い価格で売却できれば、その差額が利益となります。

立地条件の良い物件や再開発エリアの物件などは、将来的に資産価値が上昇する可能性があります。

ただし、不動産価格は経済状況や市場動向によって変動するため、購入時より価格が下落し、売却損(キャピタルロス)が発生するリスクもあります。

そのため、不動産投資では購入時から売却時期を見据えた「出口戦略」を考えておくことが重要です。

節税効果と損益通算の仕組み

不動産投資には節税効果も期待できます。

不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算することで課税所得を圧縮し、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。

特に物件購入初年度は諸費用が多くかかるため、節税効果が得られるケースもあります。

ただし、土地取得に係る負債利子や国外中古建物の減価償却費など、損益通算できない損失もあるため、制度要件の確認が必要です。

また、節税だけを目的とした不動産投資はリスクが高いため、あくまで収益性を重視した物件選びを心がけることが重要です。

出典:国税庁「No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」

年収600万円で不動産投資を始める際の注意点

不動産投資にはメリットがある一方で、当然ながらリスクも存在します。

年収600万円という収入水準を考慮すると、慎重な判断が求められる場面も多くあります。

ここでは不動産投資を始める際に注意すべきポイントについて解説します。

過度なレバレッジは避ける

年収600万円という収入水準であっても、過度なレバレッジをかけた投資は避けるべきです。

借入額が大きすぎると、空室が発生した場合や金利が上昇した場合に返済が苦しくなるリスクがあります。

また、管理費や修繕費、固定資産税などの固定費は入居の有無にかかわらず発生します。

まずは区分マンション1戸から始めて、不動産投資の経験を積みながら徐々に規模を拡大していくアプローチが堅実です。

最初の物件で成功体験を積むことが、長期的な不動産投資の成功につながります。

物件選びと出口戦略を明確にする

不動産投資で失敗しないためには、物件選びの段階で出口戦略を明確にしておくことが重要です。

立地条件、築年数、管理状態、将来の資産価値などを総合的に判断し、売却時にも買い手がつきやすい物件を選ぶことが大切です。

また、空室リスクを軽減するために、賃貸需要の高いエリアを選ぶことも欠かせません。

不動産投資は長期戦ですので、焦らずじっくりと物件を選ぶ姿勢が求められます。

まとめ

年収600万円の手取りは、各種控除を差し引いた後、年間で約460万円から480万円、月額では約28万円から30万円程度となります。

額面と手取りには約20%から23%の差があることを理解しておくことが、家計管理の第一歩です。

国税庁の調査(令和6年分)によると、年収600万円超700万円以下の階級に属する割合は、男性が10.3%、女性が4.0%であり、日本の平均給与478万円を大きく上回る水準です。

年収600万円は「勝ち組」といわれることもある一方で、都市部での生活では「生活が苦しい」「一人暮らしがきつい」と感じる方もいます。

これは主に住居費の高騰や生活水準の上昇が原因であり、支出管理をしっかり行えば、余裕を持った生活を送りながら将来への貯蓄や投資も可能な収入帯です。

そして、この年収帯からは不動産投資という資産形成の選択肢も十分に現実的になってきます。

まずは自分自身の借入可能額を把握し、将来のライフプランを具体的に描いてみることをおすすめします。

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