INVASEより不動産投資市場の最新マーケット動向をお届けします。
東京都心部を中心に、物価動向といったマクロデータや金融市場の動向を踏まえた不動産市場分析や、INVASEの注目物件・注目エリア、不動産のプロからのアドバイスもご紹介。
*お時間のない方へ、INVASEであれば仲介物件の購入に関するご相談もいただけます。その他ローンに関するご相談や、いま不動産投資をすべきかどうか、どのような立地・条件が良いかなどご相談がございましたら無料カウンセリングサービス「Journey(ジャーニー)」をご利用ください。
1. 金融・不動産市況サマリー
※1:2020年基準消費者物価指数(東京都区部)総合
※2:2020年基準消費者物価指数(東京都区部)家賃
※3:「マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)」を元にMFS作成(東京23区、シングルタイプ 18㎡以上30㎡未満、2009.Q1=100)
※4:住宅特化型REITの時価総額上位3銘柄(アドバンス・レジデンス投資法人、日本アコモデーションファンド投資法人及びコンフォリア・レジデンシャル投資法人)の分配金利回り平均
※5:10年国債利回りとREIT利回りの差
トピック
5月は米国の関税政策強化による影響により成長鈍化の兆しが広がっています。世界銀行は2025年の世界経済成長率予測を2.7%から2.3%へ下方修正し、特に米国、欧州、中国など主要国の成長見通しを引き下げました 。米国ではトランプ政権による輸入関税の引き上げが企業収益を圧迫し、設備投資の減少や景気減速の要因となっています。
2025年1~3月期の実質GDP成長率は前期比年率-0.3%と、3年ぶりのマイナス成長を記録しましたが、純輸出と在庫投資を除いた民間最終需要は同3.0%に加速しており、内需の底堅さを示しています 。また同月発表の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数は17.7万人増と市場予想を上回る一方、平均時給は前年比3.8%上昇しています。これらの状況を受け、FRBは利下げに慎重な姿勢を維持しており、政策転換は秋以降との見方が強まっています。
足元では米中間の相互関税の引き下げ発表が好感され、株式市場は関税政策の影響を受けつつも、ナスダック総合指数はやS&P 500指数は大きく上昇しています。
5月のドル円は145円を挟んでレンジ推移、日経平均株価は4月下旬からの回復基調が継続し38,000円台を回復しています。
※参照:日本経済新聞
東証REIT指数も、日経平均株価ほどの上昇率ではありませんが、堅調な推移となっています。
※参照:日本取引所グループ
マーケットは落ち着いた状況が続いています。今後、関税政策の影響が顕在化するリスクや物価動向などについては注意は必要ですが、目先は引き続き緩やかなインフレが継続するINVASEの見方に変更はありません。不動産価格については、REITについては大きな変化はなく、不動産キャップレートも落ち着いているため安定した推移になると考えていますが、引き続き突発的なイベントが中長期的な方向性に変化をもたらすリスクには警戒が必要です。
2. 各種指標の動向
賃料・インフレ
東京都区部インフレ率(CPI)の総合指数は前年同月比+3.70%上昇しています。一方、CPI内の賃料指数は前年同月比1.30%の上昇となっており、家賃が賃貸契約更新時に見直される遅行指標であることを考慮すると、CPI全体の上昇とともに賃料も今後より上昇するものと考えられます。
キャップレート(表面利回り)
キャップレートとは投資家が不動産に期待する利回り(収益性)です。不動産価格は賃料÷キャップレートで計算されるため、キャップレートの低下は不動産価格の上昇を、キャップレートの上昇は不動産価格の下落を意味します。
キャップレートは、長期国債利回りに代表されるリスクフリーレートと不動産リスク・プレミアムで構成されます。5月の長期国債の利回りは約0.181%上昇し、住宅系REITの配当利回りは0.007%下落したため、不動産リスク・プレミアムは前月比0.188%下落となりました。結果としてキャップレートは下落し、不動産価格は上昇傾向にあります。
Pスコア・適正利回り
2025年4月にPスコアの刷新を行いました。
従来モデルのPスコアは、ワンルームや1K等の投資用および築年数の比較的新しい物件に重きを置いてモデルを作成しておりました。今回、学習データを大幅に増加させることにより、2LDKや3LDK等のファミリー向けや、築年数の古い物件にも対応が可能になりました。
刷新されたPスコアは、1.00〜5.00までの点数で表され、点数が高い方がリスクが低い、つまり将来価格下落リスクが小さく、賃料が安定的に入ってくる物件であることを示します。
先月と比べて、利回りについてスコア1は上昇しましたが、スコア5は下落しております。先月から引き続き、物件によって二極化が進んでいる傾向が見て取れました。
3. 注目物件
「ラグナタワー」
ー 水辺の暮らしと都心利便を両立する、天王洲のランドマーク ー
今回ご紹介させていただく「ラグナタワー」は、東京モノレールおよびりんかい線の「天王洲アイル」駅から徒歩約7分 、東品川海上公園に面する開放的なロケーションに位置する2005年2月に竣工、地上31階地下1階建、総戸数501戸の大規模タワーマンションです 。
私(渕ノ上)がご提唱する「コンドミニアム・アセットマネジメント」の考え方においては、【土地(街)】【建物】【管理】という3つの視点からその本質的価値を分析し、それらが市場でどう評価されているかの指標として【賃料】をベンチマークにしています。
今回は、このロジックに沿ってラグナタワーを分析いたします。
【土地(街)】進化するウォーターフロントの戦略的拠点
まず【土地(街)】としての価値です。天王洲は、アートとカルチャーが根付く成熟したウォーターフロントへと変貌を遂げました 。TERRADA ART COMPLEXのような施設には多数の現代アートギャラリーが集積し 、エリア全体が文化的な魅力を放っています。
そして、リニア中央新幹線の開業を控える「品川」駅周辺の大規模再開発の恩恵を直接受けるポジションにあり、レジデンスの開発も相まって、将来的な資産価値の伸びしろは魅力的です。ビジネスと居住、文化が融合するこの街のポテンシャルは、ラグナタワーの価値の根幹を成しています。
※エリアに関する詳細情報は後述「4.注目地域」に記載しています
【建物】陳腐化しないランドマーク性と安定の大規模タワー仕様
次に【建物】です。竣工から約20年が経過しますが、その価値は色褪せていません。タワー棟「スカイフォート」と低層棟「レジデンシャルフォート」の2棟で構成され、タワー棟は2段のシンメトリーなフォルムにアクセントカラーを入れた個性的な外観が特徴で、そのランドマーク性は抜群です。
(タワー系マンションにとって「ランドマーク性」はそのブランディングからも重要です)
構造としては、高強度コンクリートや高強度鉄筋を使用しており、堅牢な基礎構造により安全性を高めています。また、居住者専用のスカイラウンジ、ジャグジー付きゲストルーム、コンシェルジュサービス、各階ダストステーション、ベーカリー&カフェといった共用施設は 、現在の多様なライフスタイル需要にも応える高い競争力を維持しています。
【管理】大規模ならではの安定性と資産価値維持
そして、最後の分析要素は当該築年数のマンションで重要な【管理】です。総戸数501戸というスケールメリットは 、管理組合の安定した財政基盤を形成し、計画的な大規模修繕の実行を可能にします。充実した共用施設も、この安定した管理体制があってこそ、その魅力を維持し続けることができます。現状良好な管理状況も相まって、陳腐化・劣化といったものは見られず、その資産性が維持されていると言えます。
【賃料】3要素を映し出す市場からの評価
最後に、これら3つの要素の総合評価を映し出すベンチマークが【賃料】です。ラグナタワーの賃料水準は、周辺の同築年数のマンションと比較しても、依然として高い水準で推移しています。
例えば、AI(Gemini)によると2025年5月時点の募集では、14階の約87.74㎡の2LDKが月額33万円、6階の約55.65㎡の1LDKが月額17万円といった事例が見られます 。また、同AIによる予測賃料では、25階の約97.59㎡の3LDK(南東向き)で月額36.7万円~41.3万円とされています 。これらの確からしさを「土地(街」「建物」「管理」の3要素を軸に検討を行います。
単なるスペックでは測れない「水辺のライフスタイル」という付加価値【土地(街)】、時代を経ても魅力的な【建物】、そしてそれを支える良好な【管理】が、賃貸市場において高く評価されている明確な証左です。安定した賃料は、自己居住用マーケットにおける「買ったほうが得か」「借りたほうが得か」の比較判断の観点から、物件価格への影響が大きい指標となります。
※りんかい線天王洲アイル駅方面からラグナタワーを臨む
資産価値を測る上で参考となるAI等による予測も有用ですが、AIの評価モデルが捉えきれない、これら【土地(街)】の将来性、【建物】の思想、【管理】の質がもたらすプレミアム価値を読み解くことが、不動産投資の成功の鍵となります。
【ラグナタワー・物件概要】
所在地: 東京都品川区東品川3丁目
交通: 東京モノレール 「天王洲アイル」駅 徒歩9分 /りんかい線「天王洲アイル」駅 徒歩9分
築年月: 2005年2月
総戸数: 501戸
構造: RC(鉄筋コンクリート)造 地上31階 地下1階
主な特徴: 水辺のロケーション、充実した共用施設(スカイラウンジ、ゲストルーム、コンシェルジュサービス、ベーカリー&カフェ等 )
※本物件にご興味をお持ちの方はもちろん、INVASEでは不動産購入の前段に必要な知識全般のご提供や、更にはご売却・賃貸等の物件マネジメントのご相談を無料カウンセリングサービスJourney(ジャーニー)にて承っております。是非お気軽にお問い合わせください。
4. 注目地域
今月の注目地域:天王洲エリア
ー アートと水辺が織りなす、進化するウォーターフロント ー
かつて倉庫街としてのイメージが強かった天王洲エリアは、「アートとカルチャーの街」として、また、職住近接を実現する洗練されたウォーターフロントとして、再開発が進みました。
運河沿いに整備されたボードウォーク、水上に浮かぶレストラン、現代アートのギャラリーやWHAT MUSEUMなどが集積し 、週末には多くの人々で賑わう、都内でもユニークな魅力を持つエリアへと進化しています。
※街なかのアート作品
交通利便性においても、りんかい線を使えば「渋谷」「新宿」へ、東京モノレールを使えば「浜松町」「羽田空港」へダイレクトにアクセス可能です 。また、エリアの北側に位置するJR「品川」駅の存在が、この街のポテンシャルをさらに高めています。リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅周辺では、現在「高輪ゲートウェイシティ」(2025年3月開業 )をはじめとする国家戦略特区レベルの大規模な再開発が進行中であり 、天王洲エリアはその発展の恩恵を間近に受けることができる、極めて戦略的なポジションに位置していると言えるでしょう 。
再開発としても2021年に一般社団法人「エリアマネジメントTENNOZ」が発足し、シーフォートスクエアをはじめとした、開発から30年を経た施設設備の維持管理、交通利便性の更なる向上といったインフラ整備に始まり、各種イベントの開催や協力、近隣の団体や学校等と連携した広域的な街づくり活動への参画、さらには品川区様と共同で官民連携まちづくり再生推進事業も開始されており、今後のタウンマネジメントにも期待が持たれます。
※シーフォートスクエア方面を臨む
そして、この天王洲の進化をさらに加速させるプロジェクトの一つが、三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスが手掛ける「パークタワー品川天王洲」です 。
【パークタワー品川天王洲】
※参照 三井不動産レジデンシャル株式会社 ニュースリリース等
https://www.31sumai.com/mfr/X1817/
天王洲アイル駅の至近(徒歩4分 )に誕生するこのプロジェクトは、地上34階建て、総戸数275戸の免震構造タワーマンションです 。2027年8月下旬の竣工を目指しており 、住宅だけでなく、新たなアートの発信拠点としての役割も期待されています。9割の住戸がワイドスパン設計となるなど、運河沿いの眺望を最大限に活かす計画です 。
この開発が目指すのは、単なるタワーマンションの建設に留まりません。「水と緑に恵まれた環境との共生」をテーマに掲げ、広大な緑地空間や水辺の賑わいを創出することで、天王洲エリア全体の価値向上に貢献することが期待されています。運河沿いの既存の魅力と、この新たな大規模開発が生み出す活気が融合することで、天王洲はビジネス、居住、文化、観光の各側面において、さらにその魅力を増していくことが期待されます。
既存の「ラグナタワー」のような成熟したコミュニティを持つマンションと、これから誕生する「パークタワー品川天王洲」のような未来を創造する大規模開発。この新旧の魅力が共存し、相乗効果を生み出す天王洲エリアのダイナミズムは、長期的な視点での不動産投資において、引き続き大きな注目に値すると考えられます。
※当該エリアでのご購入を希望されている方が多くいらっしゃいます。物件のご売却をご検討されていらっしゃる方はこちらよりお気軽にお問い合わせください。
5. INVASE事業責任者・渕ノ上からのメッセージ
ー 「担保評価」の本質を見抜く眼:融資戦略の要諦 ー
「ファイナンスが安定している以上、不動産マーケットが大きく崩れることは考えにくい」不動産投資の確からしいロジックの一つです。不動産投資の成功が「融資に始まり、融資に終わる」と言われるように、金融機関からの借入は、投資規模や収益性を決定づける極めて重要な要素といえます。
そして、その融資の可否や条件を左右するのが、対象不動産の「担保評価」に他なりません。今回は、この担保評価の考え方についてお話ししたいと思います。
金融機関が用いる評価手法は、主に「積算法」と「収益還元法」の二つに大別されると言われます。
「積算法」は、土地の価値と建物の価値をそれぞれ算出して足し合わせる考え方で、特に土地の路線価や建物の再調達価格、法定耐用年数といった客観的指標に基づき、堅実な評価がなされます。一方で「収益還元法」は、その物件が将来にわたって生み出すであろう家賃収入(キャッシュフロー)から、物件の価値を逆算する手法です 。
多くの金融機関では、特に積算法を重視し、貸し倒れリスクを抑えるための保守的な評価を行う傾向があると言われています。しかし、昨今、その考え方に大きな変化が生じています。具体的には「取引事例比較法」(=売却したらいくらになるのか)の台頭です。
金融機関としてはインフレが進みランニングコスト等が重くなり、かつ人口が縮小するマーケットにおいては、リスクヘッジのため、実際の「即時マネタイズ(換金)」との間に隔たりが生じうる積算価格より「流通価格」にフォーカスせざるを得なくなるのは自然の流れです。
更に、自己居住用住宅ローンマーケット(いわゆる「実需」)物件の評価に関しては2極化が進み、価格が高騰しているため、その積極融資のチャンスから、一部の金融機関は「流通価格」に強く注目して評価を行っています。
そもそも担保の本質が「貸付資金の回収」であることから、「任意売却をしたらいくらになるのか」にフォーカスせざるを得ないのも実際です。
その時その時の担保評価の本質を探りながら、合理的な「自己居住用」「賃貸用」不動産投資を行っていきましょう。
>>不動産ナビゲーター・渕ノ上 弘和のプロフィールはこちらから
>>不動産投資の基本から応用までを解説。Youtube「不動産ナビゲーターチャンネル」はこちらから
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