一定額以上の家賃収入がある場合は、確定申告により税金を納めなければなりません。家賃収入にかかる税金の基本を理解することで、節税につなげることも可能です。税金の仕組みや支払い方法、納付時期について詳しく解説します。

【目次】

家賃収入にかかる税金

家賃収入にかかる税金額の計算方法

サラリーマンの賃貸経営が節税につながる理由

確定申告から納税までの流れ

家賃収入を確定申告する場合の注意点

家賃収入にかかる税金の仕組みを理解しよう

家賃収入にかかる税金

不動産経営で入居者から賃料を得ている場合は、税金が課される可能性があります。家賃収入にかかる税金について、基本を押さえておきましょう。

確定申告により所得税の納税が必要

アパートやマンションを賃貸物件として購入し、家賃収入を得ている場合、年間所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。所得額に応じた所得税を納めなければなりません。

所得とは、収入から必要経費を差し引いたものです。家賃収入が20万円を超えていても、その収入を得るための経費を差し引いて所得が20万円以下になれば、確定申告は不要です。

サラリーマンが副業として家賃収入を得る場合は、収入から経費を差し引いて所得とすることが認められています。アルバイトやパートを副業としているケースでは、給与所得となるため経費を差し引けません。

所得の種類は不動産所得または事業所得

所得税法では、性質の違いにより所得を10種類に区分しています。家賃収入による所得は、不動産所得として扱われるのが基本です。

ただし、一般的な物件の賃貸による家賃収入でなければ、雑所得として処理される場合もあります。不動産所得と雑所得の違いには明確な基準がないため、判断しにくい場合は不動産会社や税務署に相談しましょう。

経営規模が大きければ、家賃収入を事業所得として扱える可能性もあります。事業所得にできれば、不動産所得や雑所得にはない、さまざまなメリットを享受できます。

家賃収入が事業所得として認められる主な基準は、『物件が5棟または10室以上』です。1棟は2室に換算されるため、2棟と6室を所有している場合も、事業所得として扱えるでしょう。

所得額に合わせて住民税も加算

所得が発生した場合、所得税以外に住民税も課税されます。所得税は所得が20万円を超えなければ納税義務はありませんが、住民税は所得が20万円以下でも納めなければなりません。

住民税の申告は、確定申告する場合は所得税と一緒に手続きできます。確定申告しない場合は、3月ごろに役所での申告が必要です。

住民税の納付方法には、『普通徴収』と『特別徴収』の2種類があります。普通徴収は、送付される納付書などにより、自分で納めるタイプの方法です。一方、給与から天引きされる納付方法が特別徴収です。

会社員が確定申告する際、申告書の『住民税』欄の『自分で納付』にチェックを入れておけば、住民税は普通徴収となり給与から天引きされません。家賃収入があることを会社に知られたくない場合には、普通徴収にする必要があります。

家賃収入にかかる税金額の計算方法

家賃収入で得た所得にかかる税金の算出方法を解説します。収入として計上すべきものや、経費計上できるものもチェックしましょう。

家賃収入となるもの

不動産経営による収入のうち、大半を占めるのが家賃収入です。ただし、賃料以外にも収入として計上しなければならないものがあります。

敷地内に有料駐車場や自動販売機を設けている場合、それらから得た収入もあるでしょう。共益費・礼金・更新料・管理費・太陽光発電による売電収入なども同様です。

ただし、敷金はそのまま収入としては扱いません。退去時に返還する前提で受け取っているお金であるため、預り金として帳簿に記帳します。退去後にどのような使い方をするかで、帳簿上の敷金の扱いは変わります。

経費計上できるもの

マンション経営で収入を得るために発生した費用は、経費として収入から差し引けます。税額をできるだけ減らすためには、経費をいかに多く計上できるかがポイントです。

経費計上できる主な費用には、不動産にかかる税金・減価償却費・修繕費・火災保険料・地震保険料・管理委託料・ローンの利息・広告宣伝費・仲介手数料・消耗品費・事務用品費などがあります。

物件を視察した際の交通費や、管理会社と食事をした際の接待交際費、不動産経営に関する書籍の購入費なども、経費にすることが可能です。

所得総額に応じて課税額が決定

所得税を計算する場合、まずは所得総額を算出します。収入から必要経費を差し引いた金額が所得総額です。給与所得がある場合は、不動産所得と合算した金額を所得総額とします。

所得総額が計算できたら、所得総額に応じた税率を掛け、対応する控除額を差し引いて所得税を算出します。

例えば不動産所得が300万円の場合、税率は10%、控除額は97,500円です。所得額は、300万円×10%-97,500円=20万2,500円と計算できます。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

サラリーマンの賃貸経営が節税につながる理由

サラリーマンが家賃収入を得るために賃貸経営をすると、税金を減らせる可能性があります。どのような仕組みで節税につなげられるのか、主な理由を解説します。

赤字が出た場合は損益通算が可能

不動産経営で収支が赤字になった場合、サラリーマンなら給与所得と損益通算できます。損益通算とは、プラスの所得からマイナスの所得を差し引くことです。

赤字分を損益通算することで所得総額が減るため、減った分の給与所得にかかる所得税を節税できることになります。実際の手続きでは、赤字分の所得税が確定申告後に還付されるでしょう。

損益通算できる所得は、給与所得から差し引く順序が決まっています。給与所得から最初に差し引ける所得は、不動産所得と事業所得です。

これらを差し引いてもまだ黒字だった場合、譲渡所得・山林所得の順に差し引きます。最初に差し引ける不動産所得は、損益通算において影響力の強い所得です。

雑所得の場合はできないので注意

給与所得から赤字分を損益通算できる所得の種類は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の四つです。

これらの所得以外は、赤字が出ても給与所得から差し引けません。雑所得・配当所得・一時所得などは、損益通算できないことになります。

損益通算は、不動産経営での赤字負担を軽減できる仕組みです。所得税だけでなく、所得にかかる住民税も節税できます。

必要な費用を経費計上できる

賃貸経営が節税につながる理由としては、さまざまな費用を経費計上できる点も挙げられます。家賃収入を得るために必要な費用なら、ほとんど全ての費用を経費にできることが特徴です。

賃貸経営はその特性上、何かと出費がかさみやすい事業です。収入が多いほど、また経営規模が大きいほど、支出も大きくなるでしょう。

できるだけ所得税や住民税の負担を減らすためには、経費に計上できる費用を事前に把握し、申告の際にきちんと計上しなければなりません。

確定申告から納税までの流れ

確定申告の大まかな流れや納税の時期、納付方法について解説します。初めて確定申告する人は、直前になって慌てないよう、やるべきことを確認しておきましょう。

確定申告の方法

確定申告する際は、最初に確定申告の方式を確認します。白色申告と青色申告の2種類があり、可能な場合は優遇措置の多い青色申告がおすすめです。

次に必要書類を準備します。青色申告の場合、自分で作成する書類は、確定申告書Bと青色申告決算書の二つです。白色申告なら、確定申告書Bと収支内訳書を準備します。

サラリーマンの場合は、源泉徴収票を会社から入手しておきましょう。不動産関連の書類・経費を証明する書類・控除関係の書類も必要です。

必要書類がそろったら、申告期間内に書類を提出すれば完了です。e-Taxが利用できる環境であれば、自宅にいながら24時間いつでも書類を送信できます。

参考:申告手続きの流れ|国税庁

納税のタイミングと方法

納税の期限は、確定申告書の提出期限と同じです。その年の確定申告期限が3月15日となっていれば、納税も3月15日までに行わなければなりません。

申告後に納付書や納税通知書が送られてくることはないため、納付書がない場合は、所轄の税務署や所轄税務署管内の金融機関でもらえる納付書を使いましょう。

税金の納付方法は、さまざまな方法が用意されています。納付書を使う場合は、現金を添えて金融機関または税務署で納付できます。クレジットカードやコンビニでの支払いも可能です。

参考:税金の納付|国税庁

家賃収入を確定申告する場合の注意点

不動産収入の所得税を申告する場合、いくつか注意するポイントがあります。注意点を確認し、実際の手続きに役立てましょう。

会社員は年末調整では代替できない

家賃収入を得ているサラリーマンは、所得税の申告を年末調整で代替することは不可能です。年末調整とは別に、自分で確定申告しなければなりません。

サラリーマンが確定申告を必要とするケースには、年収が2000万円を超える場合や医療費が高額になった場合、住宅を購入した場合などがあてはまります。

確定申告には、必ず行わなければならないケースと、行った方が得をするケースがあります。確定申告が必要であるにもかかわらずしなかった場合、罰則が科されることもあるため注意が必要です。

必要書類の準備は早めに

不動産所得の確定申告では、多くの書類を準備しなければなりません。会社からもらえる源泉徴収票も、会社によってはすぐに用意してくれない場合があります。

不動産会社から入手したり、自宅に送付されてきたりする書類も、紛失していれば新たに取り寄せる必要があるでしょう。きちんとそろっていなければ、全ての書類を数日間のうちに準備するのは困難です。

直前になって慌てることがないように、必要書類の用意は早めに済ませておきましょう。普段から書類をきちんと管理しておくことも大切です。

青色申告する場合は事前手続きが必要

確定申告を青色申告で行えば、さまざまなメリットを受けられます。ただし、希望してすぐに青色申告できるわけではありません。

青色申告するためには、事前に『青色申告承認申請書』を提出しておく必要があります。白色申告から青色申告に変えたい場合、申告したい年の確定申告の期限が提出期限です。

翌年分から青色申告を希望するなら、白色申告する際に、青色申告承認申請書を一緒に提出するとよいでしょう。翌年から青色申告での手続きが可能です。

家賃収入にかかる税金の仕組みを理解しよう

家賃収入による年間所得が20万円超なら、確定申告が必要です。年間所得額に応じて、所得税と住民税の税額が決定します。

賃貸経営で赤字が出た場合や、より多くの経費を計上できた場合は、節税につなげることが可能です。収入や税金の仕組みをきちんと理解し、適切な手続きで納税義務を果たしましょう。

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