将来の資産形成や老後の備えとして注目を集める不動産投資。しかし、初心者の方の中には「何から始めればいいかわからない」「失敗が怖い」と不安を感じる人も少なくありません。
本記事では、不動産投資の基本的な始め方と、初心者が陥りやすい注意点をわかりやすく解説します。
INVASE事業責任者・渕ノ上(ふちのうえ)
コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社 取締役CSO
株式会社FFP 代表取締役
立教大学法学部法学科卒業。在学中より法律系予備校に通い法律を学ぶ。大学卒業後コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業すると同時に不動産コンサルタントとしても業務を開始、不動産関連法律資格の講師として活動。
【保有資格】
不動産コンサルティングマスター / 宅地建物取引士 / マンション管理士 / 管理業務主任者 / AFP / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / マンション維持修繕技術者 / マンション建替士
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INVASEメディア運営会社
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どんな人が不動産投資を始めている?年収・年齢・職業別のグラフで検証
不動産を金融商品として考える新しい不動産投資サービス「INVASE(インベース)」に登録いただいてる投資家の方の実際のデータから、どのような方が不動産投資を始められているのか、年収・年齢・職業別に検証してみましょう。(※2021年6月24日〜2023年1月31日のユーザー登録者データをもとに集計)
年収別に見る不動産投資家の特徴
不動産投資を始める人は、年収500万円〜800万円の層が最も多く、全体の中心を占めています。これは、会社員として安定した給与所得があり、金融機関からの融資も受けやすいためであると考えられます。
また、年収1,000万円以上の高所得層も多く、節税や資産運用の一環として投資を行う傾向があります。一方、年収400万円以下の方にも登録いただいており、不動産投資の情報収取を通じて、融資可能額から購入できる物件タイプや、投資戦略を検討されていると考えられます。
不動産投資は高額な資金が必要と思われがちですが、年収600万円前後からでも十分に始められる現実的な資産運用手段となっています。
年齢別に見る不動産投資家の傾向
不動産投資家の中心は30代〜40代で、特に40代前半が最も多くを占めています。この年代は安定した収入のある方が多く、住宅ローン審査にも通りやすいため、投資へのハードルが低いことが背景にあると考えられます。
また、30代では将来の資産形成を意識した早期のスタートが目立ちます。一方で、50代以上も退職後の収入源や相続対策として投資に関心を持つケースが多く、年代を問わず幅広い層が参加しています。
20代の割合も少なくはなく、副業やFIREを目指す若年層の方の参入も見られます。不動産投資は年齢に関係なく、目的とタイミングが合えば始められる選択肢であるといえるでしょう。
不動産投資家の職業別構成
不動産投資を行っている人の多くは、会社員の方です。安定した収入があることでローン審査に通りやすく、日常の業務と並行して運用ができることが理由です。
また、公務員や医師、弁護士などの士業の方も次いで多く、これらの職種は信用力が高く、高額物件への投資や節税目的の運用が見られます。自営業者の方も、法人での購入も視野にいれながら検討されているような状況です。
職業ごとに投資目的やスタイルは異なるものの、不動産投資は本業と両立できる点で、幅広い層に選ばれている投資手法です。
【初心者の方向け】不動産投資の始め方・流れを徹底解説
ここからは実際に不動産投資の始め方について初心者の方向けに解説していきます。大まかには以下の手順となります。
- 投資目的と予算の明確化
- 不動産市場やエリアの情報収集
- 不動産投資会社を選ぶ・面談する
- 物件の選定と収支シミュレーション
- 購入手続きとローンの選択
- 購入後の運用と管理
- 投資目的と予算の明確化
投資目的と予算の明確化
不動産投資を始めるにあたって最初にすべきことは、「何のために投資をするのか」を明確にすることです。老後の年金代わり、副収入の確保、節税対策など、目的によって選ぶ物件や運用方法が大きく変わります。
また、無理のない予算設定も重要です。自己資金の範囲や、借入可能額、万一の空室時にも耐えられる収支バランスを想定し、現実的な計画を立てることが成功への第一歩となります。目的と予算の整合性が、投資判断の基礎になります。
インベースでは自身の投資可能額とローン条件を推定できる「INVASE バウチャー(借入可能額証明書)」サービスや、目的設計からご相談可能な不動産投資面談「Journey(無料カウンセリング)」があります。いずれも無料でユーザー登録が可能なので、ぜひご活用ください。
不動産市場やエリアの情報収集
投資目的と予算を定めたら、次に取り組むべきは市場やエリアの情報収集です。
不動産投資は株式や通貨とは異なり、実物資産を保有することになるため、「どこに物件を持つか」で収益性が大きく変わります。地域の人口動態、賃貸需要、家賃相場、将来の再開発計画などを把握することで、空室リスクや資産価値の下落を避けやすくなります。
また、利便性(駅距離、商業施設、学校など)や治安など、実際に住む人の目線で見ることも重要です。信頼できる不動産会社の情報も活用し、客観的かつ広い視野で分析しましょう。
不動産投資会社を選ぶ・面談する
不動産投資を始める際、信頼できる投資会社を見極めることは非常に重要です。初心者の方にとっては情報の多くを不動産会社から得ることになるため、会社選びの良し悪しが投資成果を左右するといっても過言ではありません。
まずは、取扱物件の実績、顧客の評判、アフターサポート体制などを比較検討しましょう。面談では、利回りや節税などのメリットだけでなく、空室リスクや将来の売却方針といったリスクについても誠実に説明してくれるかが重要な判断材料です。
また会社に問題がなくとも、担当者が自身の業績のために強引な営業をしてしまうケースもあります。可能であれば2~3社ほど面談して、それぞれ比較することをおすすめします。不動産会社は自社が得意な物件を紹介したいというバイアスがかかるため、複数社の意見を聞くことでより中立的な判断も行いやすくなります。
物件の選定と収支シミュレーション
具体的な物件の選定に進みます。ここでは物件の立地、築年数、構造、利回りなどを総合的に比較し、自身の投資目的に合ったものを選ぶことが重要です。
不動産投資の初心者の方であれば、人口が増えており入居率も高まっている都心のエリアから検討されていくと良いでしょう。都心エリアはリスクが低いため表面利回りが低くなってしまう点がデメリットですが、徐々にローンを返済することで純資産が蓄積され、売却時にキャピタルゲイン(売却益)を狙いやすいというメリットがあります。
一方、人口減少が続く地方の物件などでは都心部と比較して高利回りの物件も多くあります。一見して投資効率が良いように思えますが、売却時に買い手がつかず、大きなキャピタルロス(売却損)が出て総合的な投資リターンを大きく棄損してしまうリスクがあります。初心者の方であれば、やや難易度が高い物件タイプとなってきます。
上記の理由から、いずれの物件を購入するとしても、まずは収支シミュレーションを必ず行いましょう。家賃収入からローン返済、管理費、修繕費、税金などのコストを差し引いた「手取り利益」や、5年後、10年後の物件価格の値下がり幅を予測することで、実際の収益性が見えてきます。過度な期待は禁物で、空室や家賃下落も想定したシミュレーションを行うことが失敗を防ぐ鍵になります。
購入手続きとローンの選択
購入する物件が決まったら、売買契約やローンの申請などの手続きに入ります。まずは重要事項説明を受け、契約内容や物件の状況をしっかり確認しましょう。その後、金融機関にローンを申し込みます。
不動産投資ローンは住宅ローンと異なり、金利や融資条件も金融機関ごとに異なるため、比較検討が欠かせません。また、団体信用生命保険(団信)の加入条件なども確認しておくと安心です。無理のない返済計画を立て、長期的に安定運用できる資金設計を意識することが大切です。
不動産投資ローンの金利ランキング(2025年5月)
※インベース調べ。借り入れ時期は2025年5月以前も含み、2025年5月調査時に判明したこれまでの金利で最低ラインを掲載。
※今後は短期金利の上昇が見込まれているため、ご覧いただく時期によっては金利が異なる場合がございます。
当社が把握している最も低い金利は、東京スター銀行の変動金利1.60%〜です。ただし本金融機関はキャンペーンを実施している時期などによって金利帯は異なることに注意が必要です。また、年収が1,000万円以上あることが必須です。一方で、年収倍率12倍まで組めるため、今8倍程度借入している方で年収1,000万円以上借り入れされているなら追加融資の可能性もあります。
また、その他金融機関は1.6%〜2.5%の金利水準でして、提携不動産会社を通してのみ申し込み可能となっていることが大半です。今後は変動金利の上昇がある点は現在想定されている金利水準よりも上昇する可能性があることに留意する必要があります。
インベースであれば、不動産投資ローンの借入サービスも展開していますので合わせてご活用ください。
購入後の運用と管理
物件を購入した後は、安定した収益を得るための運用と管理が始まります。賃貸募集や入居者対応、家賃の回収、建物のメンテナンスなど、日々の管理業務が発生します。
多くの投資家の方は不動産運用のプロである専門の管理会社に委託し、手間を最小限に抑えつつ運用しています。また、空室リスクを下げるためには、エリアに合った家賃設定や適切なリフォーム、入居者満足度の向上が重要です。長期的には資産価値の維持・向上を見据え、定期的な見直しや出口戦略(売却・住み替え)も検討しておくべきポイントです。
不動産投資の初心者が失敗しやすい5つの注意点
不動産投資は安定収入や資産形成が期待できる一方で、正しい知識や準備がなければ思わぬ失敗につながることもあります。特に初心者の方は、見落としがちなポイントを理解しておくことが重要です。ここでは、初心者の方が失敗しやすい代表的な注意点を5つ紹介します。
- 信頼できない不動産会社・管理会社に依頼する
- 利回りだけで物件を選ぶ
- 空室リスクを過小評価する
- 資金計画が甘い/ローン返済を軽視してしまう
- 出口戦略を考えていない
信頼できない不動産会社・管理会社に依頼する
初心者の方がまず初めに注意すべきなのは、不動産会社や管理会社の選び方です。営業トークに乗せられて高額で割高な物件を購入したり、適切な入居管理がなされず空室が続いたりするなど、トラブルの原因になりやすい部分であるためです。
仲介会社や販売会社が紹介する物件情報は、必ず第三者の視点や相場データと照らして検証しましょう。また、管理会社の対応品質は長期的な収益に直結します。手数料の安さだけでなく、実績・対応スピード・入居者対応力などを比較検討することが欠かせません。口コミ・評判を調べたり、複数社を比較するなどして、慎重に検討していきましょう。
利回りだけで物件を選ぶ
不動産投資の初心者の方が陥りやすいのが、表面利回りの高さだけで物件を判断してしまうことです。
利回りが高く見える物件は、地方や築古などの理由で購入価格が安く抑えられています。空室率が高かったり、修繕コストがかさんだりと、実際の手取り収益が少なくなるケースがあります。このような物件は融資付けも難しく、購入時に多額の頭金を必要としたり、売却時に買い手がつかないリスクが高まります。
また、家賃下落や入居者トラブルなどの将来的なリスクも見落とされがちです。見かけの数字に惑わされず、実質利回りやエリアの需要、物件の管理状態など総合的な視点で判断することが大切です。
空室リスクを過小評価する
不動産投資では、入居者がいなければ家賃収入は得られません。それにもかかわらず、初心者は「常に満室が続く」という前提で収支を組んでしまうことが少なくありません。
実際には、入居者の退去や賃貸需要の減少などにより、一定期間空室となる可能性は十分あります。空室時の損失や再募集にかかる広告費、家賃の値下げ対応なども考慮し、現実的な収支シミュレーションを行うことが重要です。エリア選びや管理体制によって空室リスクを軽減する対策も事前に講じておく必要があります。
資金計画が甘い/ローン返済を軽視してしまう
不動産投資は、ローンを活用することで少ない資金から始められる反面、返済負担を正しく見積もらないと大きなリスクにつながります。月々の返済額だけでなく、固定資産税、管理費、修繕積立金、空室時の損失など、継続的に発生する支出を含めた資金計画が必要です。
特に初心者の方は「家賃収入で返済できるから大丈夫」と安易に考えがちですが、想定外の出費や利回り低下によりキャッシュフローが破綻するケースもあります。無理のない借入額と、余裕ある資金繰りを前提に計画を立てることが失敗回避の鍵です。
出口戦略を考えていない
不動産投資を始める際、多くの初心者の方が「いつ、どのように物件を手放すか」という出口戦略を後回しにしがちです。しかし、売却時期や方法を考えずに購入してしまうと、将来的に売却益が出せなかったり、資産が不良化したまま保有を続けることになります。
たとえば、築年数の経過やエリアの需要低下により、売却価格が下がる可能性も想定すべきです。あらかじめ「何年後にどの価格で売るか」や「収益を維持しながら保有するか」などの方針を決めておくことで、投資の成功率は大きく高まります。長期的な視点での計画を立てていきましょう。
【2025年6月】不動産投資市場の最新マーケット動向は?
5月は米国の関税政策強化による影響により成長鈍化の兆しが広がっています。世界銀行は2025年の世界経済成長率予測を2.7%から2.3%へ下方修正し、特に米国、欧州、中国など主要国の成長見通しを引き下げました 。米国ではトランプ政権による輸入関税の引き上げが企業収益を圧迫し、設備投資の減少や景気減速の要因となっています。
2025年1~3月期の実質GDP成長率は前期比年率-0.3%と、3年ぶりのマイナス成長を記録しましたが、純輸出と在庫投資を除いた民間最終需要は同3.0%に加速しており、内需の底堅さを示しています 。また同月発表の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数は17.7万人増と市場予想を上回る一方、平均時給は前年比3.8%上昇しています。これらの状況を受け、FRBは利下げに慎重な姿勢を維持しており、政策転換は秋以降との見方が強まっています。
足元では米中間の相互関税の引き下げ発表が好感され、株式市場は関税政策の影響を受けつつも、ナスダック総合指数はやS&P 500指数は大きく上昇しています。
詳細は下記よりご参照ください。
不動産投資の初心者の方からよくある質問|Q&A
サラリーマンでも不動産投資はできますか?
サラリーマンの方は安定した給与収入があるため、ローン審査に通りやすいというメリットがあります。物件の管理は専門会社に委託できるため、本業を続けながら副収入を得る手段として多くの方が実践しています。
ローンは組まないといけませんか?
必ずしもローンを組む必要はなく、現金購入で不動産投資を実践されている人もいます。しかし、多くの方が融資を活用して不動産投資を行っているのは、融資を利用することでレバレッジを効かせ、リスクとリターンのバランスをとりながら投資効率を最大化するために融資を活用しています。購入不動産を担保にすることで低い金利でデットファイナンスを活用できるのは、不動産投資の大きなメリットです。
一方、ローンには返済リスクも伴うため、資金計画や将来の収支を十分に検討したうえで選択することが重要です。返済比率や物件の担保性にも注意しながら、慎重に検討されていくと良いでしょう。
不動産投資と株式投資はどちらが有利ですか?
不動産投資と株式投資は、それぞれメリットとデメリットがあるため、どちらが有利とは言いきれません。不動産投資は毎月の家賃収入で安定した利益を得やすい反面、大きな初期費用が必要で、すぐに現金化しにくい特徴があります。
一方、株式投資は少額から始められ、いつでも売買できる自由度がありますが、値動きが大きく損をするリスクもあります。
このようにそれぞれメリット・デメリットがあり、リスクにも違いがあります。資産を分散する目的で、両方を組み合わせるのも投資方法として検討されてみると良いでしょう。
空室が出た場合のリスク対策はどうすればいいですか?
空室リスクへの対策としては、まず賃貸需要の高いエリアに物件を選ぶことが基本です。東京都心でいえば、ターミナル駅へのアクセスがよく、最寄り駅まで徒歩10分圏内の物件が目安となります。
また、入居者の満足度を高めるために、室内の清潔さや設備の更新、適切な家賃設定も重要です。管理会社の選定も大切で、入居者募集や対応がスムーズであれば空室期間を短縮できます。
減価償却や節税の仕組みがよく分かりません
減価償却とは、建物などの資産の価値を年数に応じて少しずつ経費として計上していく仕組みです。不動産投資では、この減価償却費を経費として所得から差し引けるため、課税所得を減らす効果があります。ただし土地は減価償却できない点や、将来の売却時には課税が発生する可能性もあるため、制度の仕組みを正しく理解することが重要です。
物件を売却するタイミングはどう判断すればいいですか?
物件の売却タイミングは、「収益性の低下」と「市場環境の変化」が大きな判断材料になります。たとえば、家賃が下がり続けて収支が悪化したり、大規模修繕が必要になった場合は売却を検討する一つの機会です。
不動産価格が上昇しているタイミングや、税制の変更・金利の動向も判断に影響します。保有年数によって譲渡税の税率も変わるため、5年以上の長期保有後に売却することで税負担を軽減できるケースもあります。
おすすめの方法としては、定期的に不動産査定を実施して実際の不動産価格の推移を確認しておくことです。INVASE(インベース)でも無料の「不動産売却査定」のサービスがあるため、活用してみてください。
長期的に見て資産価値が下がらない物件の条件は?
資産価値が下がりにくい物件は、駅近や生活利便性の高い立地にあることが重要です。加えて、管理状態が良く、修繕履歴が明確なもの、需要の安定した物件が選ばれる傾向にあります。
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また、不動産投資ローンの借り換えによる収支改善のご提案も行っております。不動産投資ローンの借り換えを個人で行うことはハードルが高いですが、INVASEであれば【特別金利1.55%〜】からご提案が可能です。
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