大手企業が地面師の詐欺にあったと知り、驚いた方は少なくないでしょう。
これから不動産取引をする予定で、不動産売買の不安があるなら、地面師のことを知っておいてください。
ここでは、地面師とは何なのか?という基本的なことから、地面師にだまされない予防法もお伝えしていきます。
安心して不動産取引をするために、基礎知識として取り入れてみてください。
【目次】
1.地面師とは?わかりやすく紹介
2.地面師に狙われやすい物件と予防法
3.こんな不動産取引は注意が必要
4.過去にあった地面師事件の手口を紹介
5.まとめ 地面師を理解して詐欺にあわない対策をしよう
近年、ニュースで「地面師」という言葉が登場するようになりました。大手企業がだまされたニュースを見ると、一般の人は他人事だと感じるかもしれません。しかし、被害に遭うリスクがあるのは、一般の不動産投資家も同じです。
まずは、地面師の言葉の読み方と、どのような詐欺なのか紹介していきます。
地面師の読み方は、「じめんし」です。近年話題となっている言葉ですが、戦後の時代から地面師は存在していました。戦後の混乱の際に狙われた背景や、さらにバブル時代にも大きな利益が得られるとされ地面師は増加しました。
現在は、東京オリンピックの影響で土地の価格が上昇したことにより、地面師に狙われる事件が起きています。
地面師とは、不動産取引における詐欺師のことです。土地の所有者になりすまし売却を持ちかけて、お金をだまし取ります。
詐欺だとわかりにくいのは、土地の所有者だけでなく、司法書士や不動産業者など専門家を装う人物も含めたグループだからです。
個人間での土地の売買なら「怪しい」と気づいても、所有者とは異なる第三者を通すことで、購入者は信用してしまうかもしれません。地面師の詐欺は、本人確認書類や印鑑証明書を偽装する手口です。
近年はデジタル技術の発展により、本物とわからないほど精巧な作りにコピーできるようになったことから、本物なのか区別するのが難しくなっています。
地面師の手口を理解したら、次は狙われない対策を覚えておきましょう。
予防策を知っておけば、詐欺に遭うリスクを減らすことができます。
地面師に狙われやすいのは、所有者が特定しにくい物件です。使われず放置されている土地、所有者が亡くなり遺族が誰だかわからない土地、所有者が高齢で施設に入っている土地などがあります。詐欺に使われるのは、土地だけでなく駐車場やアパートというケースもあるでしょう。簡単に所有者がわからない物件は狙われやすい傾向があります。
買い主がお金を振り込んだ時点で詐欺は成立するため、後日、法務局から「登記できない」と言われて気づくケースが少なくありません。
詐欺の手口はわかりにくいので、予防策を知っておくことが大切です。「代金の支払いと登記を同時進行すればいい」と思うかもしれません。ただ、支払いと同日に司法書士が法務局へ出向き登記の申請はできますが、権利証の発行は数日かかるため、どうしてもタイムラグが発生してしまうのです。
このような理由から、売買契約時に一部の代金のみ支払うようにして、登記を確認してから残りの代金を支払う対策があります。
支払いを分ければ、被害は一部で済みます。 または、知り合いに不動産業者や司法書士がいるなら、仲介を任せましょう。
名前の知られている大手不動産業者や、地域密着型の不動産業者に仲介を依頼するのも、不正を見破る対策として有効です。
ただし、信頼できる仲介業者に依頼したとしても、詐欺を100%防げる確証はありません。ほかにも、地面師に狙われにくい物件を選ぶことで、対策はしやすいでしょう。
担保権がある物件は、銀行の抵当権抹消の手続きが面倒なため、地面師に狙われにくい特徴があります。
買いを急がされている感じがしたら、その物件は諦めたほうがいいかもしれません。地面師は何としてでも買わせたいため、「ほかにも買いたいお客様がいる」「すぐに決まってしまう」などと言いだすでしょう。買い主に損したくない思いがあると、冷静な判断を失う恐れがあります。
または、地面師は「売主に事情があり急いでいる」と言うかもしれません。代金の振り込み時期が早ければ、相手が詐欺だと気づかない確率が高まるためです。長く取引をすればするほど、地面師のちょっとした対応で「おかしいな?」と思われるリスクがあるため、短期間で取引しようとする特徴があります。
地面師がどのような手口を使っているのか知るため、実際にあった過去の事例を紹介します。
地面師による大規模な詐欺事件として知られるのが、積水ハウスの事例です。2017年8月に、東京都五反田の約600坪の土地取引で、詐欺事件が発生しました。その被害額は、63億円ともいわれています。地面師は、印鑑証明書やパスポートなど本人確認書類を偽造しました。実際の取引額は70億円で、積水ハウスは手付金として63億円支払ってしまったとのことです。
積水ハウスの事例では、土地の所有者を名乗る女性が地面師でした。取引に関わった、不動産業者・司法書士・弁護士はすっかりだまされてしまったようです。積水ハウスといえば大手住宅メーカーで、住宅取引のプロでしょう。
また取引に関わった司法書士や弁護士は、法律を知り尽くした専門家でもあります。
経験豊富な会社や専門家が関わった事例でも、地面師のうそは見抜けなかったことになります。狙われた五反田の物件は、古くからある旅館でした。所有者は特定しており、過去にも積水ハウスとの取引の話がありましたが成立しませんでした。
その後、所有者が亡くなり相続人が変わっていたとのことです。事件でわかっているのは、成りすまし人は使われただけの存在だということです。地面師グループが関わっており、全体をつかみきれていません。主犯とされる犯人に実刑が下っても、底辺の使い捨てが逮捕されただけに過ぎないようです。
アパホテルでも、同じように地面師からお金をだまし取られた実例があります。その被害総額は、約12億6,000万円だということです。詐欺に使われた物件は、赤坂にある約120坪の土地でした。当時は駐車場として使われていたようで、所有者も特定されている物件です。
ただし、所有者が亡くなり相続することとなり、間に業者を通した形でアパホテルへと売却されています。
事件の手口は、成りすまし犯が本人確認書類を偽装していました。逮捕された犯人はいますが、地面師はグループで活動を続けており、すべてを把握しきれていないとのことです。アパホテルは、売主に対し損害賠償請求訴訟を起こし、全面勝訴しています。
勝訴し支払い命令が出ましたが、アパホテルに渡るまで売買を繰り返されているため、代金の回収には至っていないとのことです。
今回は、地面師とは何なのか?という基本的なことから、地面師にだまされない予防法をお伝えしました。
地面師による詐欺事件は、大手企業だけが狙われるものではありません。金額が大きくなる不動産取引では、一般の人も狙われる可能性があります。不動産投資を始めるなら、土地や建物など物件を買わなければならないでしょう。
初めてのことで、取引に慣れていない方も少なくないと思います。地面師に狙われないようにするには、買い主本人も手口を知っておくことが大切です。不動産を購入するときは、信頼できる不動産業者を通すようにしてください。
「怪しいな」と少しでも疑う気持ちがあるなら、購入は控えるほうがいいかもしれません。地面師は、買い主の「どうしても買いたい」という気持ちにつけこんでくる可能性があります。
特定の物件だけにこだわらず、「ほかにも物件はたくさんある」と考えておけば、焦りで正確な判断を失うリスクを防ぐことができます。
これから不動産取引を始める方は、基礎知識として地面師の知識を身につけておいてください。
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