不動産投資を成功させる上で、資金調達の要となるのが不動産投資ローンです。金利のわずかな違いが、長期的な収益に大きな影響を与えます。2024年の金融政策変更を受け、金利動向への関心は一層高まっています。


本記事では、2025年最新の不動産投資ローン金利相場から、過去の推移、金融機関の選び方、審査のポイントまでを網羅的に解説します。公的なデータを基に、客観的な視点で賢いローン選びをサポートします。

INVASE事業責任者・渕ノ上(ふちのうえ)

コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社 取締役CSO

株式会社FFP 代表取締役

立教大学法学部法学科卒業。在学中より法律系予備校に通い法律を学ぶ。大学卒業後コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業すると同時に不動産コンサルタントとしても業務を開始、不動産関連法律資格の講師として活動。

【保有資格】

不動産コンサルティングマスター / 宅地建物取引士 / マンション管理士 / 管理業務主任者 / AFP / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / マンション維持修繕技術者 / マンション建替士

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不動産投資ローンの金利相場【2025年最新】

弊社INVASEが保有する提携金融機関の最新データ(2025年現在)を分析したところ、不動産投資ローンの金利は、金融機関のスタンスによって明確な傾向が見られます。


弊社のデータによると、メガバンクや地方銀行における金利は、年利1%台後半から3%台が中心です。これらの金融機関は、お客様の属性を厳しく審査する一方で、その分、低い金利を提供するという特徴があります。


その一方で、信用金庫やノンバンクでは、金利は年利2%台から5%台とやや高めの水準となります。これらの金融機関は、銀行とは異なる独自の審査基準を設けており、物件の収益性や事業計画の将来性を柔軟に評価する傾向が強いことが、弊社の取引実績から明らかになっています。


不動産投資ローンの金利タイプとその特徴

不動産投資ローンには、大きく分けて「変動金利」と「固定金利」の2つの金利タイプが存在し、それぞれにメリットとデメリットがあります。

変動金利は、市場金利に連動して定期的に金利が見直されるため、借入当初は固定金利より低く設定されることが一般的です。

低金利が続く局面では総返済額を抑えられますが、将来金利が上昇した際には返済額が増えるリスクを伴います。

一方の固定金利は、借入期間中の金利が変わらないため、市場金利の変動に左右されず、将来にわたる返済計画を確定できる安心感が最大のメリットです。

ただし、その安定性の対価として、変動金利よりも高い金利が設定される傾向にあります。どちらを選ぶべきかは、ご自身の金利上昇に対するリスク許容度や、今後の経済動向をどう読むかによって判断が分かれるところです。

不動産投資ローンの金利推移と今後の動向

日本の金利は、長年にわたり日本銀行の金融緩和政策のもとで歴史的な低水準を維持してきました。

不動産投資ローンの金利もこの動きに連動しており、投資家にとっては有利な資金調達環境が続いていました。過去の金利水準の推移は、日本銀行が公表する統計データからも確認できます。

参考: 日本銀行 金融統計「貸出約定平均金利」

しかし、2024年に日本銀行がマイナス金利政策を解除したことは、この長期にわたる低金利時代の転換点となる可能性があります。

今後の動向としては、急激な利上げは経済への影響が大きいため考えにくいものの、物価や景気の動向次第では、金利が緩やかに上昇していくシナリオも現実味を帯びています。

不動産投資を計画する上では、こうしたマクロ経済の変化を念頭に置き、将来の金利上昇も想定した余裕のある資金計画を立てることが、これまで以上に重要になるでしょう。


​​不動産投資ローンの主要銀行・金融機関の比較と選び方のポイント

不動産投資ローンと一括りにいっても、取り扱う金融機関の成り立ちや役割は様々です。ネットバンクや地銀・信金、ノンバンクまで、それぞれの特徴を理解することが、最適なローン選びの第一歩となります。

金利や審査基準の傾向は金融機関ごとに大きく異なるため、自身の状況と照らし合わせながら、どの金融機関が最も適しているかを見極める必要があります。ここでは、金融機関ごとの違いや選び方のコツを詳しく解説します。


ネットバンク|低金利とオンラインでの手続きが特徴

ネットバンクは、実店舗を持たないことで運営コストを抑え、比較的低い金利を提供しています。手続きがオンラインで完結する商品が多く、場所や時間を選ばずに申込める点が特徴です。審査においては、申込者の属性と物件の収益性の両方がバランスよく評価される傾向にあります。

地銀・信金|地域密着型でエリア内の物件評価に強み

地方銀行や信用金庫は、営業エリアを特定地域に限定し、地域に密着した金融サービスを提供しています。

不動産投資ローンにおいては、その地域の不動産市場や賃貸需要を深く理解している点が特徴です。

全国一律の基準で評価する金融機関とは異なり、地域性を加味した物件評価が期待できます。そのため、営業エリア内にある地方のアパートや一棟物件へ融資を希望する際には、有力な相談先の一つとなります。

ノンバンク|独自の審査基準で柔軟な融資が期待できる

ノンバンクは、銀行とは異なる貸金業法に基づき、独自の審査基準で融資を行っています。

申込者の属性も評価しますが、それ以上に物件の事業性や収益性を重視する傾向があります。

そのため、他の金融機関では評価が難しい築年数の古い物件や、特殊な物件であっても、高い収益性が見込めると判断されれば融資の対象となる可能性があります。

金利は銀行よりも高く設定されることが一般的ですが、審査基準の柔軟性に特徴があり、諸費用をローンに含められる商品もあります。

不動産投資ローンの審査で重視されるポイントと対策

不動産投資ローンの審査では、金融機関が貸し倒れリスクを判断するために、申込者の返済能力と物件の担保価値を多角的に評価します。

審査でどのような項目が重視されるかを理解し、事前に準備を整えることが、融資承認の可能性を高める上で重要です。

ここでは、審査における主要な評価項目を具体的に解説します。

年収

申込者の年収は、返済能力を測る最も基本的な指標です。

多くの金融機関では、融資対象者の最低年収基準を設けており、例えば500万円や700万円といったラインが一つの目安となります。

収入額だけでなく、その安定性も評価の対象です。歩合給の割合が高い職種よりは、毎月固定給が安定して支払われる職種の方が、返済能力が高いと判断される傾向にあります。

審査に際しては、源泉徴収票や確定申告書といった公的な収入証明書類の提出が必須となります。

年齢

審査では、申込時の年齢と完済時の年齢の両方が考慮されます。多くの金融機関では、ローンの完済時年齢に上限(例:満80歳未満など)を設けています。

そのため、申込時の年齢が高い場合、設定できる返済期間が短くなり、月々の返済額が増加するため、返済負担率の観点から審査が厳しくなる可能性があります。

一方で、若年層の場合は将来性は期待されるものの、勤続年数が短い点が評価に影響することもあります。また、団体信用生命保険への加入が融資条件となることが多く、健康状態も間接的な審査項目と言えます。

勤続年数・勤務先

勤続年数と勤務先の情報は、収入の継続性と安定性を示す重要な指標と見なされます。

勤続年数については、最低1年~3年以上を基準とする金融機関が多いようです。頻繁な転職は、収入が不安定であるとの印象を与えかねません。

また、勤務先の規模や業種も評価に影響します。上場企業や公務員、あるいは経営状態が良好な大企業に勤務している場合、信用力は高いと判断される傾向にあります。

中小企業や個人事業主の場合は、事業の安定性を決算書などで示す必要があります。

その他の借り入れ状況(住宅ローンなど)

不動産投資ローンの審査では、申込者が他にどのような借入を抱えているかが厳しくチェックされます。

これは、全ての借入の年間返済額が年収に占める割合(総返済負担率)を算出するためです。

住宅ローンや自動車ローン、カードローン、奨学金など、全ての債務が審査の対象となります。特に住宅ローンが残っている場合、その返済額が考慮されるため、新規で借入できる不動産投資ローンの金額が制限されることがあります。

これらの借入状況は、信用情報機関(CIC、JICC等)への照会によって正確に把握されます。

資産状況

申込者の資産状況、特に自己資金(頭金)の額は、審査における重要な評価項目です。

一般的に、物件価格の1割から2割程度の自己資金を用意することが目安とされます。

自己資金を多く準備できることは、計画性があり、リスクに対する備えがあることの証明となります。

また、万が一返済が困難になった際の補填能力を示すものとして、預貯金や有価証券、他の不動産といった金融資産も評価の対象となります。

これらの資産状況は、預金通帳のコピーや残高証明書、資産一覧表などの提出によって証明を求められます。

不動産投資ローンの金利を下げる方法と交渉のポイント

不動産投資ローンの金利は、金融機関から提示された条件が全てではありません。

申込者の信用力や準備次第では、金利引き下げの交渉が可能な場合があります。

交渉を有利に進めるためには、客観的な根拠を示し、金融機関にとって自身が「リスクの低い優良な融資先」であることをアピールする必要があります。

事前に交渉余地のある金融機関かを見極めておく

まず前提として、全ての金融機関が金利交渉に等しく応じるわけではありません。

一般的に、申込者と担当者が直接対話する機会の多い地方銀行や信用金庫は、個別の事情を考慮した柔軟な対応が期待できるため、交渉の余地があると言われます。

一方で、システム化された画一的な審査を行う一部のネットバンク等では、規定通りの金利が適用され、交渉が難しい場合もあります。

過去の取引実績の有無や、担当者との関係性も交渉のしやすさに影響するため、金融機関の特性を事前に見極めることが重要です。

年収の上昇や安定した収入状況を証明する資料を提出する

自身の返済能力の高さを客観的に証明することは、金利交渉における基本です。

申込時よりも年収が上昇した場合や、今後も安定した収入が見込めることを示す具体的な資料を提示しましょう。

例えば、昇給後の給与明細や最新の源泉徴収票、資格取得による資格手当の証明などは有効な交渉材料となります。

個人事業主であれば、複数期にわたって安定した、あるいは増加傾向にある所得を確定申告書で示すことが、信用力の証明につながります。

勤務先の企業情報(上場企業、公的機関など)を開示する

金融機関は貸し倒れリスクを避けるため、申込者の収入の安定性を重視します。

勤務先が上場企業やその主要な子会社、官公庁といった安定性が高いと一般的に認識されている組織である場合、その点を明確に伝えることで、信用評価が高まり交渉が有利に進む可能性があります。

企業のウェブサイトや会社四季報の情報など、客観的に企業の安定性や規模を示せる資料を補足的に準備しておくことも、説得力を増すための一つの方法です。

自己資金の増加や預貯金残高を示す通帳・資産一覧を開示する

金利引き下げ交渉において、自己資金の割合は最も分かりやすい交渉材料の一つです。頭金の割合を増やすことは、金融機関の貸し倒れリスクを直接的に低減させるため、金利優遇に繋がりやすくなります。

また、申込当初より預貯金が増加している場合、その事実を通帳のコピーや資産一覧表などで示すことで、計画的な資産形成能力と高いリスク耐性をアピールできます。

これは、新規借入時だけでなく、借り換え時の交渉においても有効な手段となります。

他の借入が少ないことを証明する信用情報や借入明細を提示する

総返済負担率が低いことは、返済余力があることの直接的な証明です。カードローンや目的別のローンなどを完済し、その借入残高がない状態を証明できれば、財務状況の健全性を示すことができます。

個人で信用情報機関から「信用情報開示報告書」を取得し、クリーンな状態であることを提示するのも一つの方法です。他の借入がある場合でも、延滞なく誠実に返済を続けている実績は、申込者の信頼性を示す上でプラスに働くことがあります。


不動産投資ローンに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 住宅ローンとの違いは何ですか?


A1. 主な違いは資金の使途です。住宅ローンは申込者自身が居住するための物件購入資金であるのに対し、不動産投資ローンは第三者に賃貸して収益を得る「事業用」の物件購入資金です。事業性があるため、金利は住宅ローンより高く設定されるのが一般的です。

Q2. 自己資金はどのくらい必要ですか?


A2. 金融機関や個人の属性によりますが、一般的には物件価格の1割~3割程度が目安とされています。自己資金が多いほど審査に通りやすく、金利も低くなる傾向があります。フルローン(自己資金なし)の選択肢もありますが、審査基準は厳しくなります。

Q3. 審査期間はどのくらいかかりますか?


A3. 金融機関や申込内容によって異なりますが、一般的に事前審査(仮審査)に数日から1週間、本審査に2週間から1ヶ月程度かかります。書類の準備状況や金融機関の繁忙期によっても変動するため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。

不動産投資ローンまとめ:2025年の金利相場と賢いローン選び

本記事では、2025年の不動産投資ローンを取り巻く環境から、具体的な金融機関の選び方、審査や金利交渉のポイントまでを解説しました。

金利は金融政策の転換点を迎え、将来の動向を注視する必要がありますが、重要なのは自身の状況を客観的に把握し、それに合った最適なローンを選択することです。

金利の低さだけでなく、融資期間や諸費用を含めた総返済額、そして長期にわたる事業計画の実現可能性を見据えることが、賢いローン選びと言えます。

情報収集を徹底し、時には専門家の力も借りながら、ご自身の不動産投資を成功に導く、最良のパートナーとなる金融機関を見つけてください。

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