資産家ではなくても、アパートローンを利用すれば投資目的での物件購入が可能です。ただし、アパートローンは誰でも利用できるわけではなく、金融機関の審査をパスする必要があります。
不動産投資を始めたい場合はアパートローンと住宅ローンの違い、融資を得るまでの手順などを押さえておくことが大切です。
そこで今回は、アパートローンの審査基準や融資条件などに関して記事をお届けします。
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アパートローンとは?
アパートローンは、収益目的で物件を購入したい場合に利用できる、投資のための不動産ローンです。メガバンクから地方銀行、日本政策金融公庫まで、多くの金融機関がアパートローンを提供しています。
対象となる建築物はアパートに限定されず、戸建てやマンション、テナントなども含まれます。集合住宅を1棟丸ごと、または1部屋だけ購入する、リフォームの資金に充てるなど、さまざまなシチュエーションで活用可能です。
ローンを活用するメリットは?
ローンを利用すると、自己資金を上回る金額の物件でも入手できるようになります。購入する物件を担保としてローンを組めるため、個人でも大規模な不動産投資を手がけられる可能性があるのです。
例えば、自己資金3,000万円で利回り10%の物件を現金購入する場合、年間の家賃収入は300万円となります。ローンを利用しないため、これがそのまま年間の利益(税引前)となります。
一方で、同じ自己資金3,000万円に加えて、7,000万円のローン(年利3%)を活用し、合計1億円の物件を購入した場合、利回りが同じ10%であれば年間家賃収入は1,000万円となります。このとき、年間のローン利息は210万円(※利息のみの単純計算)ですので、差し引き790万円が利益となります。
このように、ローンを活用することで自己資金あたりのリターンは高まり、単純比較ではローンなしの300万円に対し、約2.6倍の利益を得られる計算になります。これはレバレッジ効果と呼ばれ、少ない自己資金でより大きな投資リターンを得る仕組みです。
ただし実際には、ローンの返済は利息だけでなく元本の返済も含まれるため、手元に残るキャッシュフローはこの試算より少なくなります。また、空室リスク、修繕費、固定資産税、管理費などのコストや、将来の売却価格によるリスクも考慮する必要があります。
このような点も含めて、収支のシミュレーションを行い、実質的な利回りやキャッシュフローを重視した投資判断が重要です。
アパートローンと住宅ローンの3つの違い
アパートローンと住宅ローンのおもな違いは以下の3つです。
- 利用する目的
- ローンの審査基準
- 金利・借入期間
ここからは、それぞれの違いについて詳しく紹介します。
利用する目的の違い
アパートローンのおもな利用目的は投資ですが、住宅ローンの利用目的は自身や家族の居住場所を得るためです。アパートローンの場合、通常は購入した物件に自分では住みません。購入した物件を人に貸し、家賃収入を得ることが目的となっているためです。
一方、住宅ローンの場合は自己使用が原則となっており、住宅ローンを組んで取得した物件を投資用に使うことは、基本的には認められません。ただし、賃貸併用住宅は例外です。
自身が居住するスペースと賃貸スペースを併設している住宅の場合、購入時に住宅ローンの利用を認められることがあります。多くの金融機関では、居住用のスペースが50%以上であることを、住宅ローンが使える条件としています。
ローンの審査基準の違い
アパートローンと住宅ローンでは利用目的が違うことから、審査基準も変わってきます。
不動産投資を目的としたアパートローンの場合、取得した物件で家賃収入を得ることが期待されます。その家賃収入がローンの返済にも充てられるため、審査にあたっては物件の収益性が重視されるのです。
アパートローンの融資で取得する予定の物件の賃貸需要が高いと見込まれれば、それだけ審査に通りやすくなるでしょう。その他、担保となる物件の資産価値の高さや、収入などの個人属性も審査の基準となります。
一方、住宅ローンの場合は物件から収入を得られないため、個人属性が審査基準のメインとなります。年収の高い人、勤務先に対する信頼性が高い公務員や上場企業に勤める人などは審査に通りやすい傾向にあり、物件の資産価値などはあまり重視されません。
金利・借入期間の違い
アパートローンは住宅ローンに比べて、金利の設定が高い傾向にあります。これは、投資目的で物件を購入することのリスクが金利に反映されているためです。
また、借入期間については、住宅ローンは一般的にアパートローンよりも長く設定されており、最長で50年です。アパートローンも新築住宅なら35年以上の設定もあり得ますが、中古物件の場合は借入期間がかなり短くなる可能性があります。
中古物件でアパートローンを組む場合、借入期間を左右するのは法定耐用年数です。対象物件における法定耐用年数の残存期間を、借入期間として設定する場合も少なくありません。
アパートの法定耐用年数は、木造で22年、鉄筋コンクリート造で47年などと決まっています。法定耐用年数を過ぎている中古物件の場合、そもそもローンを組めないこともあるため、注意が必要です。
アパートローンと住宅ローンの違いについては、以下記事でも詳しく解説しているのでご参照ください。
参考記事
>>不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?借り換え方法や注意点も解説
アパートローンの金利
アパートローンの金利には「変動金利型」「固定金利選択型」「全期間固定金利型」の3タイプがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
変動金利型
- 金利が変動するタイプで、金利は年2回、返済額は5年に1回見直される
- 済計画は立てにくいが、ほかのタイプよりも低金利
固定金利選択型
- 一定期間は固定金利が適用され、そのあとは変動型か固定型を選択するタイプ
- 固定金利期間がおわると、金利が上昇するリスクがある
全期間固定金利型
- すべての期間で金利が固定されているタイプ
- 返済計画を立てやすい一方、金利水準が高いのが難点
また、アパートローンの金利の相場は、利用する金融機関によって異なります。金融機関ごとの金利の目安が以下です。
- 日本政策金融公庫:1.2~2%
- 都市銀行:1~2%
- 地方銀行:1~4.5%
- 信用金庫・信用組合:2~3%
- ノンバンク:3~4.5%
金利の設定が低い金融機関ほど審査が厳しい傾向があります。利用するローンや条件によって金利は変わるため、金融機関の特徴などを把握することが重要です。
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アパートローンの返済期間
アパートローンの返済期間はおおよそ20~30年に設定されます。返済期間を決めるときに基準となるのが、担保にする物件の法定耐用年数の残存期間です。
以下は、建物の構造別の法定耐用年数です。
- 木造:22年
- 軽量鉄骨造:27年
- 重量鉄骨造:34年
- 鉄筋コンクリート造:47年
※参照:国土交通省「主な減価償却資産の耐用年数表」
注意点として、法定耐用年数の残存期間がそのまま返済期間となるわけではありません。法定耐用年数よりも短めに設定されることもあります。
また、ローン完済時における年齢も返済期間を決める要因の一つです。完済時の年齢は80~85歳で設定されることが多いため、法定耐用年数が長い物件でも、利用者の完済時の年齢が80歳を超える場合は、返済期間が短くなることもあります。
アパートローンの融資を得るまで
アパートローンの融資を得る際は、以下の手順を踏むことになります。
- 融資申請の準備
- 融資の申し込み
- 担当者との面談
- 金融機関での審査
- 融資の手続き
ここからは、それぞれのステップについて解説します。
融資申請の準備
融資申請の準備段階では、まず利用する金融機関やローン商品を探すことになります。金融機関探しについては、不動産会社などから紹介してもらう方法もあります。
金融機関を選ぶときは、実際に足を運んで聞いてみることが大切です。直に話を聞くとアパートローンに好意的だったり、時期によっては積極的に取り扱ったりする場合もあるためです。複数の金融機関に相談し、自身の条件に合致するところを探すとよいでしょう。
金融機関やローン商品を選んだら、申し込みに必要な書類を用意します。必要書類について、詳しくは後述しますが、おもに事業計画書や物件概要書、建物図面などです。金融機関ごとに提出を求められる書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。
融資の申し込み
購入する物件や資金計画などが決まった段階で、実際に融資を申し込むことになります。必要書類をそろえたら、利用したい金融機関に申し込んでください。
利用できる申込方法は金融機関により異なりますが、電話やWebサイトが主流です。オンラインなら都合の良いときに申し込めるので、忙しい人にも便利でしょう。
担当者との面談
担当者との面談は、金融機関からの信頼を得るうえで重要な機会です。適切にアピールできるかどうかは審査にも影響を与えるため、綿密に準備を整えて臨むとよいでしょう。
面談では、事業計画や収支計画、投資に関する知識の深さなどを確認されます。わかりやすい資料を用意することはもちろん、事業の実現性を明快に説明できるようにしておくことも重要です。
また、アパートローンを利用するのが一度だけとは限りません。金融機関との長期的な関係づくりを意識しながら、信頼できる取引相手であることを訴えましょう。
金融機関での審査
金融機関の審査では、提出した書類と面談の内容を参考に、融資の可否を判断します。
審査基準について、詳しくは後述しますが、おもに見られるのは事業計画の合理性や対象物件の収益性です。その他、ローン利用者の不動産投資の経験や信用力、返済能力なども審査結果を左右するポイントとなります。
審査に通らず、融資が下りなかった場合、基本的に理由は教えてもらえません。そのため、自力で問題点を洗い出す必要があります。
融資の手続き
審査で問題ないと判断された場合、融資の手続きが行なわれます。金融機関が融資の条件を提示してくるため、不明点がある場合はその時点で明確にしておくことが大切です。
金利や返済期間などの細かい事項もすべて確認し、合意のうえで署名・捺印を行なって契約を結びましょう。融資の条件をすべて確認できたか自信がない場合は、税理士や司法書士などにアドバイスを求めるのも一つの方法です。
融資が決定すると、多くの場合、3営業日程度で指定の口座に融資金が振り込まれます。なお、事業収益が発生する前から返済が始まることもあるため、資金にある程度の余裕をもっておくとよいでしょう。
アパートローンの3つの審査基準
アパートローンの審査において重視されるのは、以下に挙げる3つのポイントです。
- 物件の収益性
- 物件の担保価値
- 個人の実績や経歴
ここでは、それぞれの審査基準について解説します。
物件の収益性
アパートローンでは、家賃収入の一部を返済に充てることがほとんどです。そのため、審査では対象となる物件の収益性が重視されます。
金融機関は、物件の立地や間取り、築年数などのデータから、安定した収益を見込めるかどうかを判断します。特に、立地の良い物件は安定した需要が見込めるため、審査に通りやすいでしょう。
融資を希望する場合は、事業リスクや収益性を具体的に洗い出し、運用の安定性を訴えることが重要です。
物件の担保価値
一般的に、物件の担保価値が高いほど、アパートローンの審査に通りやすくなります。担保価値とは、市場価値に基づいて算出される不動産価格、すなわち「売ればいくらになるか」という指標のことです。
万が一ローンの返済が滞った場合、金融機関は物件を売却して債務を回収することも検討します。担保価値が高ければ、それだけリスクが低いとみなされるため、融資を受けやすくなるのです。
金融機関が物件の担保価値を算出する際は、立地や市場価値、将来的な需要などの要因を考慮に入れます。特に、将来的な価値の上昇が予想される物件は評価も高くなるため、覚えておくとよいでしょう。
個人の実績や経歴
物件の収益性や担保価値には劣りますが、個人の実績や経歴も審査に影響を与えるポイントです。
具体的には、クレジットカードやローンの利用状況、税金などの支払い状況に問題がないかどうかを確認されます。また、年収や勤務先、健康状態といった個人属性も評価の対象です。
その他、賃貸経営の実績があると、審査で有利になる傾向にあります。金融機関は賃貸経営のさまざまなリスク要因を危惧しているため、実績があるオーナーのほうが、安定経営の可能性が高いと判断されます。
アパートローン審査前に確認するべきこと
アパートローンは融資を受けて終わりではなく、時間をかけて返済しなくてはならないものです。アパートの収益性やローンの返済比率など、前もって確認するべきポイントも押さえておきましょう。
ここからは、アパートローンの審査前に確認するべき3つのポイントを紹介します。
- アパートの収益性は大丈夫か
- 返済比率は合っているか
- 審査に必要な資料の確認
アパートの収益性は大丈夫か
投資目的のアパートを建てる際、建築会社から収益プランを提案される場合があります。実際以上の利回りで想定された収益プランを信じた結果、ローン利用者が自己破産に至るケースもあるので注意が必要です。
アパートの収益性を見極めたいときは、複数の会社から見積もりを取り、利回りなどが適切かどうかを比較検討するとよいでしょう。信頼できる建築会社は金融機関との連携も強固なので、アパートローンの審査で有利な条件を提示してもらえる場合もあります。
アパートの収益性を確かめるうえで重要なのが、収益シミュレーションです。事業計画書の説得力を大きく左右するポイントで、家賃や空室の割合、修繕費などを具体的に設定したうえで収益性を計算します。
ただし、初心者が行なうのは難しいため、収益シミュレーションで適切な結果を得たい場合は、専門家に相談するのが賢明です。
返済比率は合っているか
アパートローンの返済比率の目安は、家賃収入の50%程度です。例えば、年間の家賃収入が200万円なら、そのうち100万円程度をローンの返済に充てることになります。返済比率が50%を超えている場合、空室などで返済が滞るリスクも高まるので注意が必要です。
また、不動産投資におけるランニングコストの目安は、家賃収入の20~30%程度とされています。その内訳は、建物の管理・維持費や空室の入居者を募集する広告費、管理手数料などです。つまり、ローンの返済比率が50%だとしても、実際には家賃収入の70~80%は出費になることが多いのです。
返済比率が高すぎるとアパート経営で赤字になる恐れもあるため、適切な比率に設定されているかどうかを確かめましょう。
審査に必要な資料の確認
アパートローンの審査で必要となるおもな書類は、以下のとおりです。
事業計画書- 返済計画書
- 物件概要書
- レントロール
- 登記簿謄本・公図
- 源泉徴収票(3年分)
- 本人確認書類
- 収入証明書
- 所有不動産の謄本(コピー)
- 実印・印鑑登録証明書
- 団体信用生命保険申込兼告知書
レントロールとは、賃貸物件の家賃や入居状況などを一覧で示した書類のことです。アパートの収益性を証明するために必要なもので、不動産会社に請求すれば取得できます。
団体信用生命保険申込兼告知書は、団信(団体信用生命保険)に加入するための書類です。団信に加入すると、ローン利用者が死亡などで返済能力を失った際、残債の返済が免除されます。
なお、住宅ローンは団信への加入を求められるケースがほとんどですが、アパートローンの場合は基本的に任意です。団信については、以下記事で詳しく解説しているのでご参照ください。
参考記事
>>不動産投資ローンの団体信用生命保険は充実すべき?新規でも借り換えでも決断は慎重に
審査の際に提出を求められる書類は金融機関ごとに異なるため、事前に確認したうえで用意するとよいでしょう。
まとめ
アパートローンを利用すると、自己資金を超える規模で不動産投資を行なうことができ、レバレッジ効果が期待できます。審査の際は物件の収益性や担保価値が重視されるため、事業計画書などで適切にアピールするとよいでしょう。
また、返済比率が適切でないと、ローン返済が滞って自己破産などにつながる恐れがあります。アパートローンの利用を検討する場合は、事前によく計画を立て、複数の金融機関で相談することが大切です。
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よくある質問
アパートローンはいくらまで借りられますか?
アパートローンで借りられる金額の目安は、年収の10~30倍です。例えば、年収500万円なら、借入可能額は4,000~7,500万円程度になるでしょう。
アパートローンで借りられる金額は、年収以外の属性や資産状況などにも左右されます。ほかにも物件を複数有しているなど資産が潤沢な場合は、年収の30倍程度まで借りられる可能性もあります。アパートローンの借入可能額については、以下の記事で解説しているのでご参照ください。
参考記事
アパートローンは何年組めますか?
アパートローンでは、20~30年の返済期間を設定することがほとんどです。返済期間は、担保にする物件の法定耐用年数や、ローンを完済するときの年齢などを考慮して決定されます。基本的に、アパートローンの返済期間は金融機関が決めるため、自分が希望する年数で組めるとは限らないことを覚えておきましょう。