中古アパートを購入したいと考えている場合、利回りだけで選んでよいのか不安になりがちです。利回りは投資物件選びの重要な指標ですが、最重視すべきではない点に注意しなければなりません。
今回は、アパート経営における利回りの種類や相場、注意点を解説します。
※時間がない方へ・・・今すぐ不動産投資ローンの借り入れ可能額を知りたい方は「バウチャーサービス」、不動産投資ローンの借り換えができるのか、いくら借り換えメリットがあるか知りたい方は「借り換えサービス」をご利用ください。いずれも無料で、自宅にいながらオンラインでお申し込み頂けます。
【目次】
アパート経営における利回りとは
利回りの種類と計算方法
アパート経営で目指すべき利回りの基準
利回りが高い方がいいわけではない
アパート経営は利回り低下リスクに注意
利回りは物件選びの基準の一つ
アパート経営における利回りとは
投資における収益を考える際、重要な目安の一つとなるのが利回りです。どのような意味の言葉なのか、まずは利回りの基本を解説します。
投資に対する収益率
アパート経営における利回りとは、投資金額に対する収益の割合を指す言葉です。『年利回り』ともいい、利回りを計算する際は1年あたりの収益額を用います。
3,000万円のアパートを購入し、年間収益が150万円なら、利回りは150万円÷3,000万円×100=5%です。3,000万円÷150万円=20となるため、この物件は20年後に投資金を回収できる概算になります。
投資用のアパート選びにおいて、利回りは収益性の高さを判断する重要な指標の一つです。ただし、利回りが高いほどよい物件であるとは限りません。あくまでも目安の一つとして考える必要があります。
参考>>不動産投資は利回りのみで判断するのは危険?ほかの要素も確認しよう
利回りの種類と計算方法
利回りの種類には、表面利回り・実質利回り・想定利回りの三つがあります。それぞれの意味や計算方法を覚えておきましょう。
表面利回り
物件の収益性を大まかに把握できる利回りが『表面利回り』です。『グロス』とも呼ばれます。表面利回りの計算式は『年間家賃収入÷物件購入価格×100』です。
家賃6万円で8部屋あるアパートを7,000万円で購入した場合、表面利回りは6万円×8部屋×12カ月÷7,000万円×100=約8.2%となります。
表面利回りを計算する際は、現在の入居状況における年間家賃収入を用いるのが一般的です。ただし、業者によっては満室時の賃料で計算しているケースもあります。
実質利回り
『実質利回り(ネット)』は、表面利回りに購入時の諸経費や年間必要経費も反映させた利回りです。より現実的な収益力を求められます。
実質利回りの計算式は、『(年間家賃収入-年間必要経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100』です。同じ物件を表面利回りと実質利回りで比較した場合、実質利回りの方が低くなります。
年間必要経費とは、固定資産税・管理費・修繕積立金・火災保険料などです。購入時の諸経費は、登録免許税など物件取得時にかかる費用や、ローン契約時の諸経費が該当します。
想定利回り
物件が空室の場合や、物件に売り主自身が住んでいる場合は、『想定利回り』が提示されます。具体的な入居状況が分からず、表面利回りを算出できないためです。
想定利回りの計算では、満室を想定した場合の年間家賃収入が用いられます。計算式は表面利回りと同じ『年間家賃収入÷物件購入価格×100』です。
不動産会社の物件広告には、表面利回りと想定利回りのいずれかが記載されます。想定利回りが記載されている物件は、現在空室であるとの判断が可能です。
空室時に計算する想定利回りは、実際の家賃が反映されていません。利回りを高く見せるために、相場より高めの賃料で算出されているケースがある点に注意が必要です。
アパート経営で目指すべき利回りの基準
物件探しの際に目安とすべき利回りの基準を知っておきましょう。利回りが高くなる理由も解説します。
利回りの相場
アパートの利回りは、地方が高く、都市部は低くなる傾向があります。
利回りの相場は、人口約20万人の地方都市で8~11%、東京・大阪の中心部や政令都市が5~9%です。都内の物件には5%以下のものもあります。
建物の築年数によっても相場は異なります。古い建物は家賃収入が少なくなりやすいものの、それ以上に物件購入価格が安くなるため相場は高めです。ワンルームとファミリータイプを比較した場合は、ファミリー向けの方が相場は高くなります。
物件を探す際は、できるだけリスクを抑えるために、地域の相場からかけ離れた物件を選ばないことが重要です。相場より1~2%高く設定された物件を中心に探しましょう。
利回りの最低ラインは3%が目安
物件探しで利回りを確認する際は、最低でも3%を超えているかチェックしましょう。利回りが低過ぎると利益を出しにくくなり、想定外の支出が発生した場合に自己資金を回さなければならなくなります。
アパート経営をより安定させるための理想的な利回りは最低5%です。地域の相場と照らし合わせながら、5%を超えているかどうかを一つの指標にしましょう。
アパート経営では、建物や設備の修繕費・急な空室発生・各種税金の支払いなど、さまざまな不測の支出が発生します。最低ラインの3%と理想ラインの5%を目安にすれば、不安を抱えながらの経営を回避できるでしょう。
利回りが高くなる物件の特徴
基本的に、物件価格が安いほど利回りは高くなります。価格が安くなりやすい代表的な物件は、地方にある物件や中古物件です。
表面利回りには管理コストが反映されていないため、高利回りになる傾向があります。実質利回りでも管理コストが安く見積もられている場合は、利回りが高くなりやすい点に注意が必要です。
満室時を想定して計算されているケースや、設定家賃で年間収入を割り出しているケースでも、利回りは高くなりがちです。空室が埋まりにくい物件は家賃を下げることも多く、家賃を下げると実際の利回りも低くなります。
利回りはさまざまな理由で高くなるため、高利回りの物件を吟味する際は、真価を確かめる作業が必要です。
利回りが高い方がいいわけではない
利回りが高いに越したことはありませんが、利回りの高さのみで物件を選ぶのは危険です。高利回り物件の特徴やリスクと、低利回り物件を選ぶメリットについて解説します。
高利回り物件ほどリスクは高い
投資の世界には、『リスクプレミアム』という考え方があります。リスクプレミアムとは、リスクがある投資商品に対する購買意欲を高めるため、利回りに上乗せされる部分です。
不動産投資における高利回り物件にも、リスクプレミアムが反映されています。利回りが高いほどリスクプレミアムが大きいため、リスクも高いと判断できるのです。
多くの高利回り物件は、『家賃が高い』『設備が充実していない』など、入居者を集めにくい欠点を抱えています。空室から家賃収入は得られないため、たとえ利回りが高くても収益を増やせないのが大きなリスクの一つです。
高利回りが継続するとは限らない
高利回り物件で注意すべきポイントの一つに、物件選択時の利回りはあくまでも一時的なものである点が挙げられます。
利回りの計算で用いる家賃には、将来的な家賃下落リスクが考慮されていません。空室率の変化や、将来必要となる大規模修繕の費用なども、まったく加味せずに計算しています。
アパート経営は数十年もの長期間にわたり進めていくものであり、賃料の相場が下がる可能性や周辺環境の変化も考慮して物件を選ぶことが重要です。高利回りの物件を購入しても、利回りを維持し続けられる保証はない点を覚えておきましょう。
低利回り物件を選ぶメリット
利回りが低い物件は、高利回り物件に比べ投資に対する収益率が低めです。しかし、低利回り物件はリスクが低いため、購入を検討すべき物件もあります。
利回りが低い物件の多くは家賃を安く設定しており、入居者を集めやすいため空室リスクを抑えられます。また、新築物件は総じて利回りが低めになりますが、新築や築浅といった要素は入居者にとって魅力になりやすいポイントです。
空室リスクが低ければ、より安定的に家賃収入を得られるため、収益性が高まり売却時にも有利に働きます。気になる物件の利回りが低い場合は、低い理由をさまざまな角度から考え、利回り以外の要素も含めて総合的に価値を判断することが大切です。
アパート経営は利回り低下リスクに注意
実際のアパート経営では、さまざまな要因で利回りが低下しやすくなります。収益を維持するために、以下のリスクについて対策を講じることが大切です。
空室リスク
空室が発生すると家賃収入が減るため、実質利回りが低下して利益が減ります。アパートを探す際は、できるだけ空室リスクの低い物件を選ぶことが重要です。
空室リスクは都市部より地方の方が高めですが、利回りは都市部になるほど低めです。都市部は地方に比べ物件価格が高額になりやすいことも含め、バランスを見ながら比較する必要があります。
空室リスクを完全にゼロにすることは不可能であり、どれだけ対策を練っていても一時的な空室は発生します。実質利回りを算出する際は満室を想定せず、ある程度の空室リスクも考慮しなければなりません。
家賃の下落
アパートは年数が経つにつれて劣化していくため、家賃を下げなければ入居者が集まらない状態になりかねません。家賃が下落すると利回りも低下し、収益が悪化します。
家賃の値下げ交渉をする入居者が増えている点にも注意が必要です。収益維持のために値下げを断っていると、空室の状態が長く続く場合もあります。
想定利回りが提示されているならば、実際の家賃相場をしっかりと把握しておくことが大事です。想定家賃が高めに設定されていると、家賃の下落リスクは避けられないでしょう。
維持・メンテナンス費の高騰
建物の経年劣化は、家賃の下落を引き起こすだけでなく、維持費の高騰にもつながります。早めに手を打っておかなければ、大きな出費が必要になりかねません。
修繕費が高額になれば、結果的に利回りも低下します。維持費の高騰を抑えるためには、小まめにメンテナンスを行うことが重要です。
建物が劣化すると、資産価値を下げてしまう点にも注意しましょう。アパートを手放す際に高く売れなくなるため、出口戦略にも悪影響を与えます。
参考>>不動産投資初心者が知るべき基本知識を整理!リスクを減らす方法は
利回りは物件選びの基準の一つ
アパート経営の利回りとは、投資に対する収益率のことです。数値が高くなるほど、より多くの収益を期待できます。
ただし、利回りの高い物件が優良物件であるとは限りません。高利回りのアパートにはデメリットもあるため、あくまでも物件選びの指標の一つとして考える必要があります。
最後に、インベースでは、ご自身がいくらまで借り入れできるかを判定するバウチャーサービスを提供しています。
「不動産投資を検討しているが、いくら融資を受けられる?」
「どの不動産会社に相談すればいい?」
こうしたお悩みのある方はこちらからご利用下さい。無料でご利用頂けます。
借り換えを検討されている方はこちらから。国内最低水準の金利で借り換えできるか、借り換えするメリットがあるかどうかを無料で診断いたします。
【関連記事】