不動産投資では高額な不動産を長期間運用するため、物件購入前のシミュレーションが必要不可欠といわれます。利益を出せない物件に投資するのは、大切なお金を投げ捨てるようなものです。
本記事では、不動産投資をする前のシミュレーションの重要性や手順などを、具体例を交えて解説します。物件購入を決める前に一度目を通してみてください。
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目次
・なぜシミュレーションが必要なのか
・収益性を示す2つの利回り
・シミュレーションに必要な情報を集めよう
・シミュレーションの具体例:区分マンションの場合
・シミュレーションの具体例:一棟物件の場合
・シミュレーションの具体例からわかること
・購入前のシミュレーションで適切な物件を見つけよう!
なぜシミュレーションが必要なのか
なぜ投資用物件を選ぶときにシミュレーションが必要なのでしょうか。次のような理由・目的があるためです。
・物件の収益性を確認するため
・損失をなるべく少なく抑えるため
・売却のタイミングを予測するため
それぞれ詳しく説明します。
物件の収益性を確認するため
不動産投資における収益性とは物件が稼ぐ能力のことをいい、1年あたりの収益性を数値化したものを利回りといいます。
物件選びの際には利回りの高さに注意が向きがちですが、物件情報などに記載されている利回りだけでは本当の収益性はわかりません。空室や経費などが考慮されていないためです。
不動産投資の運用期間は長期にわたります。また、投資金額も高額です。
軽い気持ちで購入を決めるのではなく、その物件が10年後20年後にも利益を出せるかどうか、シミュレーションで確認する必要があるのです。
損失をなるべく少なく抑えるため
運用中には予想外の事態が起こることがあります。空室や家賃滞納による減収、住宅設備などの故障、火災や自然災害による建物損傷の可能性はゼロではありません。
また、金利の上昇に伴って返済負担が増す可能性や、家賃値下げの可能性も考えておく必要があるでしょう。
こうした不測の事態が発生したときに対応できるだけの余裕があるかどうか、どのようにして乗り切るかを検討するのにも、シミュレーションが役立ちます。
売却のタイミングを予測するため
不動産価格が上昇している時期は売却のチャンスといえますが、保有することで収支が悪化する可能性がある場合は、早めに売却したほうがよいでしょう。築年数が経つにつれて、家賃は下がっていくのが一般的です。
その一方で、経年劣化による修繕の機会は増えていきます。建物全体の大規模修繕は特に費用がかかり、収支が逆転する可能性もあります。
家賃の下落率や修繕スケジュールなどを想定したシミュレーションによって、売却のタイミングが把握できます。その時点で投資した額を回収できるか、どのくらいの利益が出せるかなどを確認してから、物件購入を決めるべきでしょう。
収益性を示す2つの利回り
利回りにはいくつかの種類がありますが、代表的なものが表面利回りと実質利回りです。購入の判断基準にもなるため、それぞれの概要と計算方法を把握しておきましょう。
表面利回り
表面利回り(%)=年間合計家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
表面利回りとは、物件の収益性を最も単純に表した数値です。物件情報などに記載されているのは表面利回りですが、年間入居率100%の前提で計算されるため、期待利回りとも呼ばれます。
表面利回りでは経費などを考慮しないので、実際の収益性を測ることはできません。また、入居者がいる状態で売りに出されるオーナーチェンジ物件を除いて、家賃は想定値であることにも注意が必要です。
なお、表面利回りの相場は、地域や物件タイプなどによって異なります。次に示すのは、一般財団法人日本不動産研究所が発表した地域別・物件タイプ別の期待利回りです。参考にしてください。
●ワンルームタイプ
東京城南:4.0%
札幌:5.3%
仙台:5.3%
横浜:4.5%
名古屋:4.8%
京都:5.0%
大阪:4.6%
神戸:5.0%
広島:5.5%
福岡:5.0%
●ファミリータイプ
東京城南:4.2%
札幌:5.5%
仙台:5.5%
横浜:4.8%
名古屋:5.0%
京都:5.1%
大阪:4.7%
神戸:5.1%
広島:5.6%
福岡:5.0%
参考:第45回不動産投資家調査(2021年10月現在)|一般財団法人日本不動産研究所
実質利回り
実質利回り(%)=(年間合計家賃収入 - 年間経費) ÷ (物件価格 + 購入時諸費用) × 100
実質利回りは、物件の維持管理にかかる経費や購入時に支払う諸費用を含めて算出します。経費や諸費用は、実際に購入・運用してみないことにはわかりません。
しかしながら、購入前にできるだけ情報を集めることで、より実態に近い試算が可能です。
参考>>不動産投資の重要な指標のひとつ!NOI(営業純収益)利回りを理解しよう
シミュレーションに必要な情報を集めよう
シミュレーションにはさまざまな数値・情報を用います。はじめに整理しておきましょう。
物件に関する情報
・購入金額
・周辺の家賃相場
・間取りと入居期間
・建物の広さや構造
・(中古物件の場合)修繕履歴
周辺の家賃相場は、家賃を決めるのに必要な情報です。建物の広さや構造ならびに修繕履歴は、大規模修繕の時期や費用を予測するのに用います。
間取りと入居期間は、空室率や家賃下落の予測に役立つ情報です。
たとえば、ワンルームマンションは入居期間は短めで入退去の回転が早い傾向にありますが、次の入居者が見つかりやすいという特徴があります。
ファミリータイプのマンションや戸建は、長期間の入居が期待できるものの、一度空室になると入居付けに苦戦するケースがみられます。
購入にかかる費用(購入時諸費用)
・消費税(建物部分)
・印紙税
・登録免許税
・司法書士手数料
・仲介手数料
・不動産取得税
・(中古物件の場合)固定資産税および都市計画税の清算金
土地は非課税のため、建物にのみ消費税が課されます。売買契約書などに消費税額が明記されている場合はそのまま建物部分の消費税となりますが、わからない場合は不動産会社に確認するようにしてください。
物件価格が400万円をこえる場合、仲介手数料の上限は 売買価格×3% + 6万円 + 消費税 で求められます。
なお、売買価格は税抜です。建物部分の消費税額を確認するときに、土地・建物それぞれの価格をメモしておきましょう。
土地ならびに賃貸物件を含む居住用建物の不動産取得税は、固定資産税評価額 × 3%で計算します。本来の税率は4%ですが、2024(令和6)年3月31日までの軽減措置です。
新築物件はさらに減税できる制度があります。概算も含め、不動産会社に尋ねてみてください。
固定資産税および都市計画税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。年の途中で所有者が変わる場合は日割り計算して、売主と買主それぞれに分担するのが通例です。
具体的な金額は、仲介を担当する不動産会社に確認してください。
運用中にかかる費用(年間経費)
・固定資産税・都市計画税
・(マンションの場合)管理費
・(マンションの場合)修繕積立金
・管理委託費
・火災保険料・地震保険料
管理委託費とは、物件管理や入居者対応などを業者に依頼した場合に発生する費用です。家賃の5%ほどを目安にしてください。
固定資産税や都市計画税、マンションの管理費・修繕積立金などは、中古物件なら具体的な数字が入手できます。新築物件の場合は、不動産会社に試算してもらうとよいでしょう。
維持管理にかかる費用は物件によっても異なります。上記のほかにも毎月支払うことがわかっている項目・費用があれば、整理しておきましょう。
不動産投資ローン返済額
不動産投資ローンの返済額は、キャッシュフローを割り出すのに用います。キャッシュフローとはお金の流れを意味する言葉ですが、不動産投資では以下のとおり、家賃収入から出費を差し引いて手元に残るお金のことをいいます。
キャッシュフロー:家賃 -(経費 + 借入金返済額)
金利や返済額などは金融機関の審査によって決まるため、シミュレーションの段階ではわかりません。以下に紹介するようなツールを使って、金利や返済条件などが異なるいくつかのパターンを準備してください。
また、不動産投資ローンに関して詳しく知りたい方は下記記事にまとめていますのでご覧ください。
参考>>不動産投資ローンはどの銀行がオススメ?金利や審査基準を比較
シミュレーションの具体例:区分マンションの場合
不動産投資のシミュレーションとして、区分マンションのケースを元に検討してみましょう。
区分マンションの条件
・物件タイプ:中古ワンルームマンション
・物件価格:2,000万円
・想定家賃収入:8万円/月(96万円/年)
・購入時諸費用:100万円(物件価格の5%と仮定)
・年間経費:14万4,000円(家賃収入の15%と仮定)
・借入額:1,500万円
・返済方法:元利均等返済(年12回)
・返済期間:30年
表面利回り
以下の計算により、この物件の表面利回りは 4.8% という結果になりました。
96万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 4.8
実質利回り
以下の計算により、この物件の実質利回りは 約3.5% という結果になりました。なお、リスクとして1ヶ月の空室を想定しています。
(96万円 - 8万円 - 14万4,000円)÷(2,000万円 + 100万円)× 100 ≒ 3.50
キャッシュフロー
ツールを用いて金利が異なる3パターンの返済額を求めました。キャッシュフローの違いは次のとおりです。
●金利1.0%の場合
年間返済額:578,952円
年間キャッシュフロー:96万円 -(14万4,000万円 + 57万9,000円)≒ 23万7,000円
●金利1.5%の場合
年間返済額:621,216円
年間キャッシュフロー:96万円 -(14万4,000万円 + 62万1,000円)≒ 19万5,000円
●金利2.0%の場合
年間返済額:665,316円
年間キャッシュフロー:96万円 -(14万4,000万円 + 66万5,000円)≒ 15万1,000円
シミュレーションの具体例:一棟物件の場合
不動産投資のシミュレーションとして、一棟物件のケースを元に検討してみましょう。
一棟物件の条件
・物件タイプ:新築アパート
・物件価格:8,000万円
・満室時想定家賃収入:500万円
・購入時諸費用:400万円(物件価格の5%と仮定)
・年間経費:100万円(満室時想定家賃収入の20%と仮定)
・借入額:6,000万円
・返済方法:元利均等返済(年12回)
・返済期間:30年
表面利回り
以下の計算により、この物件の表面利回りは 6.25% という結果になりました。
500万円 ÷ 8,000万円 × 100 = 6.25
実質利回り
以下の計算により、この物件の実質利回りは 約4.17% という結果になりました。なお、リスクとして空室率10%を想定しています。
(500万円 × 90% - 100万円)÷(8,000万円 + 400万円)× 100 ≒ 4.17
キャッシュフロー
金利の違いによって、返済額とキャッシュフローは次のように異なります。
●金利1.0%の場合
年間返済額:2,315,808円
年間キャッシュフロー:500万円 -(100万円 + 231万6,000円)≒ 168万4,000円
●金利1.5%の場合
年間返済額:2,484,864円
年間キャッシュフロー:500万円 -(100万円 + 248万5,000円)≒ 151万5,000円
●金利2.0%の場合
年間返済額:2,661,264円
年間キャッシュフロー:500万円 -(100万円 + 266万1,000円)≒ 133万9,000円
シミュレーションの具体例からわかること
シミュレーションの具体例によって、表面利回りと実質利回りの違いがはっきりしました。今回はリスクとして空室のみを取り上げましたが、実際には家賃滞納のリスクもありますし、エアコンや給湯器の故障などで急な修繕費が発生する可能性もあります。
家賃収入は今後下がる可能性が大きく、利回りやキャッシュフローは減っていくのが一般的です。
さまざまなリスクを想定しながらシミュレーションすることで、その物件の本当の収益性がわかります。
また、条件を変えてシミュレーションすれば、効率の良い運用方法も見つかるでしょう。売却のタイミングをつかむのにも役立ちます。
購入前のシミュレーションは、不動産投資の成功のカギを握っているといっても過言ではありません。
購入前のシミュレーションで適切な物件を見つけよう!
今回は、不動産投資をする前のシミュレーションの重要性や手順などを、具体例を交えて解説しました。
空室・家賃滞納・火災・自然災害・金利上昇など、不動産投資はさまざまなリスクを伴います。ただし、適切な対策を講じることで、リスクを回避し、損失を最小限に抑えることできます。
シミュレーションは、そうしたリスクや対策を整理したり、売却のタイミングを予測するのに役立つツールです。
多くの不動産会社ではシミュレーションを作成・提示してくれますが、どこをどうチェックするのかを理解しておく必要があるでしょう。
インターネット上のシミュレーションアプリで確認したり、第三者の視点によるシミュレーションやアドバイスが受けられるサービスを利用したりするのも有効な手段です。
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