アパート経営などの不動産投資は、経費として計上できる費用項目が多いのが特徴です。家賃収入から経費を差し引いた額が所得税の課税対象となるため、経費が多いほど所得税を軽減できます。

そこで今回は、アパート経営で認められる経費に関して解説していきます。

ただし、経費として認められるものと認められないものがあるため、どのような費用が経費になるのかを知っておくことは大切です。確定申告の時期に慌てることのないよう、本記事を役立ててください。

【目次】

そもそも経費とは?

アパート経営で経費になる、ならないの基準

経費率の計算方法と目安

節税のために経費を正しく把握しておこう

そもそも経費とは?

経費とは所得を得るために使った費用のことをいいます。所得税は、売上などの収入から経費を引いた所得に対して課せられる税金です。所得税の計算には課税対象額に応じた税率が適用されます。

たとえば、500万円の売上に対して経費が100万円の場合、課税対象額は400万円、税率は20%です。経費が200万円なら課税対象額は300万円、税率は10%になります(2021年5月時点)。

経費が多いほど課税される所得金額が減り所得税を低く抑えられるため、認められる経費はしっかり計上すべきでしょう。

 

アパート経営で経費になる、ならないの基準

アパート経営をするために使われた費用は基本的にすべて経費として計上できます。ただし、認められるものと認められないものがあることに注意してください。ここからは、アパート経営の経費と注意点について具体的に説明します。

 

経費として計上できるもの

どのような費用がアパート経営の必要経費として認められるのか、内容や注意点を含めて把握しておきましょう。

必要経費の一覧は下記の通りです。

 

物件の維持管理費

アパートの維持管理費には次のようなものがあげられます。

・エアコンや給湯器など住宅設備の修繕費

・退去後の部屋のクリーニング代

・エレベーターや集合ポストなど共用部分の修繕や点検にかかった費用

・アパートの管理業務を外部に委託している場合は管理費

・立ち退きに関する費用

 ただし、耐震補強や屋上・ベランダの防水加工など建物の寿命を延ばすための工事は修繕費ではなく、資本的支出として減価償却します。退去後の部屋のリフォームなど、資産価値を高めるための費用も同様です。

目安としては、費用が30万円以下の場合や修繕の周期が3年以内の場合は修繕費、それ以外は資本的支出とみなされることが多いようです。

なお、大規模修繕に備えた積立金は、支払いと計上のタイミングが異なることに注意してください。経費として計上できるのは、その年に実際に支払った費用に限ります。毎月一定額を積み立てていたとしても、実際に工事費が支払われるまでは計上できません。

 

税金

原則として税金は経費にはできませんが、アパートの購入や経営に関する税金は経費計上が認められています。アパートを取得する際に発生する印紙税、登録免許税、不動産取得税、保有している間は毎年納付する固定資産税や事業税などです。

自動車税や軽自動車税も経費の対象になりますが、認められるのはアパート経営に関する部分に限られます。打ち合わせや物件の確認などに自家用車を使用する場合は、事業とプライベートにおける使用割合を分けておく必要があります。

参考>>不動産投資にかかる税金とは?

 

司法書士や税理士などに支払った報酬

司法書士や税理士、弁護士などに支払った報酬は全額経費に計上できます。ただし、登記や確定申告の手続き、経営に関する相談やトラブルの解決など、アパート経営に関わるものに限られます。

 

保険料

アパートを対象とした火災保険や地震保険などの損害保険料は、その年に支払った分に限り経費にできます。ただし、5年や10年など長期の保険料を一括で支払った場合は、その年に全額を経費にすることはできません。たとえば、10年契約の火災保険に加入し、20万円の保険料を一括で支払ったとします。この場合、保険料を支払ったその年に計上できるのは2万円です。残りは翌年以降、契約期間満了の年まで2万円ずつ計上していきます。

 

借り入れに関する費用

ローン保証料やローン事務手数料などアパートローンに関連する費用も経費にできます。また、借入金に対する月々の返済のうち、利息部分は経費として計上できます。

ただし、不動産所得が赤字の場合には、土地に関係する借入金の利息は計上できないことになっています。確定申告の際、土地と建物それぞれの利息を割り出す必要があることに注意してください。

 

減価償却費

減価償却とは、年月が経つにつれて劣化する資産については購入費用を分割して計上するという、会計上のルールです。事業用のアパートはもちろん、自動車やパソコンなどの固定資産に適用されます。計上できる期間は、資産ごとに決められた法定耐用年数に従います。建物に関しては、用途や構造によっても耐用年数が異なることに注意してください。

同じアパートでも木造なら22年、軽量鉄骨の場合は厚さ3mm以下は19年、3mm以上4mm未満は27年など細かく決められています。なお、土地は劣化しない資産と考えられるため、減価償却の対象外です。減価償却費を計算する際は、購入費用から土地に関わる部分を差し引くことを忘れないでください。

参考>>不動産投資の減価償却について!計算や注意点

 

通信費

不動産会社や管理会社とのやりとりにかかった電話代や郵便代、物件検索などに利用したインターネット代は経費になります。自宅のパソコンを使用しているときは事業とプライベートを分けなくてはならないため、事業に使用した時間をメモしておくとよいでしょう。

 

広告宣伝費

チラシやパンフレットなど、アパートの入居者募集にかかった費用は宣伝広告費として計上できます。

 

交通費

不動産会社や管理会社に出向く、現地を確認する、不動産関連セミナーに参加するなど、アパート経営のための移動にかかった電車代やガソリン代などは交通費になります。タクシーを利用した場合は領収書をもらうようにしましょう。領収書が出ない電車やバスを利用した際は、日付・経路・金額・行き先などをメモして、事業のために使ったことがわかるようにしてください。

 

新聞図書費・研修費

アパート経営の勉強や情報収集にかかった費用も経費としてみとめられます。新聞や書籍の購入費は新聞図書費として、セミナーなどの参加費は研修費として計上できます。

 

交際費

管理会社や税理士などアパート経営に直に関係する人との飲食代、お中元やお歳暮などの贈答品は経費になります。プライベートとの区別がしっかりできるよう、領収書に相手の名前や関係などをメモしておきましょう。

 

事務用品費・消耗品費

ノートやペンなどは事務用品費、10万円以下のカメラやパソコンなどは消耗品費として計上できます。プライベートでも使用する場合は、使用頻度や時間などから事業用の割合を計算し、その分だけを計上する必要があります。

 

経費として認められないもの

 アパート経営で経費にできる費用は多数ありますが、経費にできないものもあるため注意してください。

 

借入金返済の元本部分

借入金返済の利息部分は経費になりますが、元本部分は経費にはなりません。元本部分は借りたものを返しているだけで、事業のために発生した費用ではないと考えられているためです。

 

所得税や法人税

アパート経営では固定資産税などの税金を経費にすることが認められていますが、税金は原則として経費にはできません。そもそも所得に応じて課せられる所得税や法人税は、経費の対象外です。

 

駐車違反などの罰則金

スピード違反や駐車違反などの罰則金は、事業のための打ち合わせに行く途中だったとしても経費にはできません。高速道路の通行料や駐車料金は経費にできるので、交通違反で痛い出費を作らないように気をつけてください。

 

経費にできるが注意が必要なもの

 アパート経営のために発生した費用は、基本的には翌年の確定申告ですべて経費として計上します。ただし、費用のなかには支払うタイミングと計上できるタイミングが異なるもののあるため、注意してください。外壁塗装や耐震補強などの大掛かりな工事については、実際に工事が行われてから計上します。また、工事費を全額その年に計上するのではなく、何年かに分けて減価償却する必要があります。火災保険や地震保険の長期保険料も、支払った年に全額計上することはできません。

特に間違えやすいのが、購入時に不動産会社に支払う仲介手数料です。仲介手数料は、減価償却費のもとになる物件の取得価格に含まれます。減価償却できるのは建物や設備などの資産に限られるため、土地付きアパートを購入した場合は物件価格から建物分を割り出し、それに相当する仲介手数料を算出する必要があります。仲介手数料全額をアパート購入の経費にできるわけではないので、注意してください。

参考:賃貸用の土地建物を購入した際に支払った仲介手数料の取扱いについて|国税庁

経費率の計算方法と目安

節税のためには経費をもれなく計上するのが鉄則ですが、多ければ多いほど良いというわけではありません。経費が多ければ所得税を少なく抑えられますが、手残りは少なくなってしまいます。そのため、物件を選ぶ際に経費率がどのくらいかを意識することも大切です。経費率は次の計算式で求められます。

経費率=年間経費÷年間家賃収入×100

 一般的には25%前後が経費率の目安といわれていますが、物件の所在地や種類、築年数などで異なるため一概にはいえません。たとえば、同額の経費がかかるとしたら、家賃水準の高い都市部の物件のほうが経理率は低くなります。物件価格が同じ場合は、都市部よりも固定資産税が安い地方の物件のほうが経理率が下がるでしょう。また、新築よりも中古のほうが物件価格は安くなりますが、急な修繕が発生することが予測されるため、修繕費は多く見積もっておく必要があります。

一棟アパートと区分マンションを比較した場合には、減価償却期間と修繕積立金に差が出ます。木造アパートの法定耐用年数は22年であるのに対し、RC造のマンションは47年です。減価償却期間はマンションのほうが長くなります。修繕積立金に関しては実際に工事が行われるまで経費計上できないことを説明しましたが、区分マンションのオーナーが月々支払う修繕積立金については、その年の経費計上が認められています。物件を選ぶ際には、こうした違いがあることも理解しておくとよいでしょう。

参考:賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い|国税庁

まとめ 節税のために経費を正しく把握しておこう

今回は、アパート経営で認められる経費に関して解説しました。

 アパート経営のために支払った費用は、確定申告の際に経費として計上できます。経費が多いほど所得税の軽減につながるため、認められる費用はきちんと計上するようにしましょう。

ガソリン代やインターネット通信費なども経費にできます。プライベートで使ったものと混同しがちなので、税務署から尋ねられた際に説明できるよう、普段から事業用とプライベート用を分けて管理するように心掛けてください。

ただし、収入に対して経費が多すぎるようでは利益になりません。アパート経営で成功するには、物件選びの際に経費率を意識することも大切です。

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