不動産投資を副業にする会社員や公務員が増えていることをご存じでしょうか。興味はあるものの、我が社では副業は禁止されているから…と諦めてはいませんか。安心してください。一定の条件を満たせば不動産投資は副業とはみなされません。この記事では、不動産投資が副業にならない条件、会社員や公務員が不動産投資を行うメリットや注意点などをまとめました。初めの一歩を踏み出すために役立ててください。
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【目次】
不動産投資は副業?資産運用?
不動産投資が会社員や公務員に向いている理由
不動産投資が副業とみなされない3つの条件
不動産投資開始後に必要な2つの手続き
不動産投資と確定申告
不動産投資の初心者が失敗を防ぐには
会社員・公務員は不動産投資が事業的規模にならないように気をつけよう
不動産投資は副業?資産運用?
不動産投資をはじめ、株やFX、投資信託などは資産運用を目的とした金融商品です。個人が自分の資産を増やすことについて企業が口出しすることはできません。ただし、不動産投資を始めることは不動産貸付業を開業することを意味します。そこが副業にあたるかあたらないかを悩む原因なのかもしれません。
そもそも、なぜ企業は副業を嫌がるのでしょうか。経済産業省が発表した資料(平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書)によると、調査対象のうち85.3%の企業が副業を認めていないと回答しています。また、副業を認めない理由として、以下のような懸念があげられました。
・本業がおろそかになる
・情報漏洩のリスクがある
・競業、利益相反のおそれがある
・長時間労働につながる
など
たしかに投資に夢中になるあまり本業に身が入らないようでは問題です。自分が買った株式銘柄の値動きが気になって頻繁にスマートフォンを覗きこんだり、夜通しFX取引をして仕事中に居眠りをしたりするようでは、職場も良い顔はしないでしょう。情報漏洩やインサイダー取引防止の目的で株式投資を禁止している金融機関や監査法人もあります。
不動産投資には、これらの懸念材料がほとんど当てはまりません。その理由については次の段落で詳しく説明します。
参考:平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書|経済産業省
不動産投資が会社員や公務員に向いている理由
不動産投資は、会社員や公務員にこそおすすめしたい資産運用です。おすすめの理由としては、主に次の5つがあげられます。
・本業に影響しない
・金融機関から融資が受けやすい
・所得税の節税効果がある
・生命保険の代わりになる
・老後の年金対策ができる
それぞれ詳しく解説しましょう。
本業に影響しない
不動産オーナーになると、入居者募集や家賃回収、トラブル対応などの業務が発生します。これらのオーナー業務は不動産管理会社に委託するのが一般的です。管理を依頼してしまえば日常的には特にすることがなく、月に1度、家賃の入金を確認する程度です。株やFXなどのように値動きが気になることもなく、本業にしっかりと専念できるでしょう。働かずして家賃収入が得られるわけですから、長時間労働の心配も不要です。こうしたことから、不動産投資には企業が心配する副業のリスクがほとんど当てはまらないことがわかります。
金融機関から融資が受けやすい
物件購入には不動産投資ローンを利用します。融資を受けるには、金融機関の審査を通過しなくてはなりません。このときに、会社員や公務員であることが有利に働きます。
融資審査でチェックされるのは、年収・職業・勤務先・勤続年数・自己資産の有無などです。会社員や公務員には安定した収入があり、返済の遅延や滞納の心配が少ないと判断されることが多く、比較的スムーズに融資が受けられます。また、評価次第では優遇金利が適用されたり、借入限度額が引き上げられたりします。安定した職業ならではのメリットといえるでしょう。
参考>>不動産投資ローンはどの銀行がオススメ?金利や審査基準を比較
所得税の節税効果がある
不動産投資では経費にできる項目が多く、実際に利益が出ていても帳簿では赤字といったことがよく起こります。そして、その赤字部分は給与などの所得の黒字部分との相殺が可能です。この仕組みを損益通算といいます。相殺によって所得税の課税対象額が減らせるので、節税効果が期待できるというわけです。ただし、自分で確定申告をしなければ節税効果は得られません。確定申告については記事の後半で解説します。
生命保険の代わりになる
不動産投資ローンの申し込みに対して、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険への加入を条件としています。ローン返済中に契約者にもしものことがあれば、ローンの残債は保険金で支払われるので、家族への負担はありません。相続した家族はそのまま賃貸経営を継続することもできますし、売却して現金化することも可能です。空室であれば自分たちの住まいにすることもできます。
万一に備えて、家族の住居費も含めた多額の生命保険に加入している場合は、不動産投資を始めたことをきっかけに保険の見直しをしてみてはいかがでしょう。保険金が少なくなれば月々支払う保険料も安くなり、家計への負担を減らせます。
老後の年金対策ができる
ローン完済後は、維持費や管理費をのぞいた家賃のほとんどが利益になります。公的年金だけでは不安といわれている中、家賃収入を老後の生活資金にあてるために不動産投資を始める人も増えています。
厚生年金加入者である会社員や公務員は、国民年金加入者よりも多くの年金が受け取れます。ただし、ゆとりある生活をするには足りないかもしれません。年金のほかに家賃収入があれば、老後の生活に対する不安もやわらぐのではないでしょうか。
不動産投資が副業とみなされない3つの条件
2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法には、副業や兼業を推進する考えが盛り込まれています。副業・兼業の促進に関するガイドラインやモデル就業規則なども発表され、副業を認める企業が増えつつあるようです。ただし、就業規則の細かいところは企業で異なるため、兼業・副業についての記載にはしっかりと目を通しておいてください。
公務員は原則として副業禁止とされています。ただし、人事院規則に自営とみなされる基準が明記されていて、基準の範囲内であれば自由に行えるようです。人事院規則は国家公務員に関係する法令ですが、地方公務員にもあてはまるので目を通しておいてください。規則に抵触せずに不動産貸付を行うポイントは、以下の3つです。
・事業的規模を超えない
・年間家賃収入を500万円未満に抑える
・管理業務を業者に委託する
それぞれの内容をわかりやすく解説します。
事業的規模を超えない
人事院規則には、不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合は自営とみなし、承認できないと記されています。
・独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
・独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
・土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
なお、税法上でも、建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定基準として、5棟10室が掲げられています。事業規模を超えないように注意すれば、公務員が不動産投資を行うことに問題はありません。
ただし、税法上は貸家1棟=2室に換算されることに注意してください。たとえば、貸家2棟・区分マンション6室の所有は合計10室ということになり、事業的規模とみなされます。人事院規則に違反したことが発覚すれば、減給処分などのペナルティを受けるかもしれません。物件を買い増すときは、事業的規模を超えないように気をつけてください。
年間家賃収入を500万円未満に抑える
年間家賃収入にも次のような基準が設けられています。
・不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
500万円といえば結構な金額に感じますが、アパート一棟を所有すれば軽く超えてしまうかもしれません。たとえば、家賃7万円・6部屋のアパートが1年間満室稼働した場合、年間の家賃収入は504万円です。規則の範囲内に収めたい場合は、トータルの家賃を意識しながら物件を選ぶようにしてください。
管理業務を業者に委託する
親が行っていたアパート経営を相続した場合などは、いきなり事業的規模や年間家賃収入をオーバーしてしまう可能性があります。その場合は職場に申し出て、次のすべてに適合すると認められれば規則違反にはなりません。
(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
会社員もそうですが、国や地方、国民のために働く公務員は、特に本業に支障がないように注意しなくてはなりません。所有する物件の管理は、すべて管理会社に委託するようにしてください。
引用:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について|人事院
不動産投資開始後に必要な2つの手続き
不動産投資を始めたら、不動産貸付業を開始した旨を税務署に届け出る必要があります。次の年からは確定申告が発生しますが、青色申告を希望する場合は同時に届け出を済ませておきましょう。
開業届
事業所得、不動産所得または山林所得を生ずる事業を新しく始めたときは、納税地の税務署に個人事業の開業届出書を提出します。提出期限は事業開始から1ヶ月以内。窓口へ持参するほか郵送でも受け付けてくれます。申請書は窓口で受け取るか、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。なお、手数料はかかりません。
所得税の青色申告承認申請書
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告を行う場合は事前の届け出が必要です。提出期限は事業開始から2ヶ月以内ですが、1月15日以前に事業開始した場合は3月15日までに提出します。開業届と同時に提出すれば手間がかからないので、一度に済ませられるよう準備するとよいでしょう。
不動産投資と確定申告
会社員や公務員は源泉徴収で所得税を納めていますが、給与所得のほかに20万円をこえる所得が発生した場合は確定申告を行わなくてはなりません。家賃収入(不動産所得)もその対象です。次のようにして、前年1年間の不動産投資に関する収支をまとめて所得金額を算出します。
参考>>不動産投資に確定申告は必要?やり方や経費について解説
不動産所得の金額=総収入金額-必要経費
総収入金額には家賃のほか、更新料や共益費などが含まれます。必要経費は、固定資産税や損害保険料、管理費、減価償却費など、不動産貸付業を行うためにかかった費用の合計額です。
確定申告には青色申告と白色申告があることをお話ししました。青色申告は複式簿記での記帳や決算書の作成など、白色申告に比べると書類作成が複雑です。しかしながら、最大65万円の特別控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりなどのメリットがあります。知識がない人でも確定申告ソフトの使用で比較的スムーズに提出書類が作成できるので、ぜひ青色申告にチャレンジしてみてください。
確定申告の時期は原則2月16日から3月15日まで。管轄の税務署に持参するか郵送で提出します。忙しい人は、早朝や深夜でも提出可能な電子申請(e-Tax)を利用するのがおすすめです。
不動産投資の初心者が失敗を防ぐには
不動産投資は初心者にもチャレンジしやすいという意見があります。同じ初心者でも、知識がないまま始めるのと、ある程度の知識があって始めるのとでは、結果が全く違ってきます。投資額が大きいだけに失敗したときのダメージは大きくなりがちです。ここでは、不動産投資の初心者が失敗を防ぐために押さえておきたいポイントを2つ紹介します。
不動産投資の知識をつける
不動産会社に勧められるがままの投資では失敗に終わる可能性が高くなります。不動産会社は商売なので、収益性が低い物件でも言葉巧みに誘導するかもしれません。条件が良さそうな物件でも安易に決めるのは避け、一度立ち止まって検討することが大切です。
初心者にありがちなのが、価格や利回りの高さで物件を選んで失敗するケースです。購入したもののじつは賃貸需要が少ないエリアで、入居者付けに苦労したあげく、利益どころか大きな損失を出して手放したといった話は珍しいことではありません。人口が多く賃貸需要が期待できそうなエリアを選ぶ、不動産投資のリスクを把握して適切な対策を講じるなど、基礎的な知識をつけてから物件を選ぶことをおすすめします。
信頼できる不動産管理会社を選ぶ
不動産管理会社の業務内容やサポート範囲、委託費などは会社によって異なります。会社員や公務員は、不動産管理会社がきちんと対応してくれなければ、副業禁止規定に引っかかる可能性があります。委託先を選ぶときは複数社を見比べて、信頼できそうなところを選ぶようにしてください。
会社員・公務員は不動産投資が事業的規模にならないように気をつけよう
不動産投資は資産運用であり、会社員や公務員の副業には該当しないと考えられています。管理会社に業務委託すれば物件管理の手間はほとんどかからないため、本業に差し支えることはありません。
ただし、物件数が5棟10室以上、あるいは年間家賃収入が500万円以上になると、事業的規模とみなされて減給などのペナルティを受ける可能性があります。会社員・公務員として勤務しながら不動産投資を続ける場合は、事業的規模を超えないよう注意してください。
最後に、インベースでは、ご自身がいくらまで借り入れできるかを判定するバウチャーサービスを提供しています。
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