東京をはじめ大阪や名古屋などの都市部では、狭小賃貸の人気が急上昇しています。一般的なワンルームや1K物件よりもさらに狭い物件に、なぜ注目が集まるのでしょうか。

今回は、狭小賃貸の人気の秘密にせまるとともに、狭小賃貸へ投資する際の注意点や、購入・建築資金に利用する不動産投資ローンの審査基準などを解説します。ぜひ参考にしてください。

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狭小賃貸とは

国土交通省の住生活基本計画では、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準を、単身者で25平方メートルとしています。畳に換算するとおそよ15枚分。

この中にミニキッチンやバス・トイレ、クローゼットなどを配置すると、居室部分は7~8畳程度になります。

今回のテーマである狭小賃貸は、その半分ほどの広さしかありません。床面積は10平方メートルほど。畳で表すと約6枚分です。ミニキッチン・バス・トイレ・クローゼットを配置すれば、居室部分は3畳分ほどしかありません。ベッドを置くだけでいっぱいになってしまいそうですが、これが意外と若い人にウケているのだとか。狭小賃貸にはどんな魅力があるのでしょうか。

参考:住生活基本計画における「水準」について|国土交通省

狭小賃貸のメリットとは

狭小賃貸のメリットに関しては、オーナー側と利用者側ともどもにあります。具体的に見ていきましょう。

オーナー側のメリット

床面積が小さい狭小賃貸物件なら、従来のアパートを建てるのは難しいと思われる狭小地や変形地にも建てられます。こうした土地は割安で購入できることもあり、建築費用の節約につながります。

浮いたお金で内装や設備を充実すれば、周囲のワンルームマンションとの差別化が図れて一石二鳥です。

一般的なアパートを建てられる土地に、あえて狭小アパートを建てるという方法もあります。たとえば、通常なら4室のところ、1室あたりの面積を半分にすれば8室が確保できます。

狭小賃貸の家賃相場は1Kやワンルームマンションの約半分ですが、部屋数が多いので、トータルでは同程度の家賃収入が期待できるでしょう。空室が発生したときの家賃減収ダメージも軽減できます。

利用者側のメリット

駅から近く築年数が新しい物件は家賃も高額です。家賃をおさえるには、築年数が古いことや駅から離れていて不便なことなど、いろいろと我慢して妥協するしかありません。

部屋の広さや新しさよりも、とにかく便利さを重視したいというニーズに応えるのが狭小賃貸です。

住まい探しのポータルサイトsuumoで、若者に人気の街・渋谷の家賃相場(2021年10月31日時点)を調べたところ、一般的な賃貸物件と狭小賃貸物件とでは家賃が倍近く違うことがわかりました。

・渋谷駅から徒歩5分以内

・間取りタイプ:ワンルーム、1K

・平均面積25.07平方メートル:家賃相場13.5万円

・平均面積13.19平方メートル:家賃相場7.3万円

部屋の狭さが気にならなければ、好立地の物件が格安の家賃で借りられます。実際に狭小賃貸を利用している人のほとんどは20~30代の若者ですが、終電を逃がした際のセカンドハウスとして利用している40代以上のビジネスパーソンもいるとのこと。

都会での生活をアクティブにするための拠点が欲しいという人にとって、狭小賃貸は理想的な住まいなのかもしれません。

狭小賃貸が注目される背景

窮屈そうにも思える狭小賃貸が注目される背景には、次のような要因があるといわれています。

・大都市圏への人口集中

・価値観やライフスタイルの多様化

それぞれ解説します。

大都市圏への人口集中

ご存じのとおり、現在の日本は少子高齢化が進むと同時に、大都市圏への人口集中が続いています。

以下に示すのは、総務省が発表した2021年1月1日時点での人口の多い団体トップ3です。ちなみに、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・沖縄県は、5年連続で人口増加率がプラスになっています。

1位:東京都(1,384万3,525人)

2位:神奈川県(922万245人)

3位:大阪府(883万9,532人)

上記の都府県は、人口に占める20代の割合が多いのも特徴です。全国での割合と比べると、20代が多いことがわかります。

全国:1,282万2,884人(10.12%)

東京都:173万4,132人(12.53%)

神奈川県:100万1,336人(10.86%)

大阪府:97万9,470人(11.08%)

国では人口分散のため地方移住を推奨していますが、大学進学や就職などを機に若い人が都市部に集まる構図は変わりません。単身者向け物件に対する需要は、安定して高めの傾向です。

参考:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|総務省

価値観やライフスタイルの多様化

戦後の高度成長期や1980年代のバブル期には、多くのモノを持つことが豊かさの表れであり、人々の目標・憧れでした。ところが近年は、モノを持つのではなく必要なときに欲しいぶんだけ利用する、つまり所有から消費へと人々の意識が変化しているといわれています。

たまにしか着ないフォーマルな衣類は必要なときだけレンタルする、車は買わずレンタカーやカーシェアリングを利用するといった具合です。

さまざまな分野でサブスクリプションサービスが展開され、多くのモノを持たなくても生活できる仕組みが整っている時代だといえるでしょう。

2015年あたりからは、あえてモノを持たない暮らしを選択するミニマリストと呼ばれる人たちが注目されるようになりました。家電や家具はなるべく置かず、衣類や食器は必要なぶんだけ。

大都市はこうしたミニマルな暮らしを実現しやすい環境といえます。冷蔵庫がなくても24時間営業のコンビニエンスストアがあちこちにありますし、コインランドリーを利用すれば洗濯機もいりません。テレビがなくてもパソコンがあれば番組や映画が視聴でき、本は図書館や電子書籍で読めます。

モノが少なくなれば必然的に、住まいに広さを求める理由がなくなります。こうした価値観やライフスタイルに着目したことが、狭小賃貸のヒットにつながっているといわれています。

狭小賃貸へ投資するときの注意点

利用者はもちろん不動産投資家からも、狭小賃貸への注目が集まっています。しかしながら、一般的なアパートとは特徴が異なるため、投資する場合にはいくつかの注意が必要です。

ここでは、狭小賃貸に投資する際の注意点について解説します。

立地を吟味する

いくら駅から近くても、そもそもの人口が少なければお話になりません。特に狭小賃貸では、若者人口をしっかり調べることが大切です。狭小賃貸の利用者は20~30代が圧倒的に多いためです。

たとえば、全国的にみても賃貸需要が高めとされる東京23区内でも、エリアによって人口や平均年齢が異なります。東京都の統計によれば、2021年1月1日時点での東京23区の平均年齢は44.77歳、最も低いのが中央区の41.92歳、高いのが足立区の46.28歳となっています。平均年齢の低いエリアのほうが若者人口が多いと考えられ、狭小賃貸の需要が期待できそうです。

また、駅の利用者数も立地選びの参考になるでしょう。JR東日本が発表する各駅の乗車人員では、東京都内の駅に加え、神奈川県の横浜駅・川崎駅、埼玉県の大宮駅がトップ10にランクインしています。いくつかの候補を選んだら、実際にその駅に足を運び、街の雰囲気を味わってみてください。地元の不動産屋をのぞいてみるのもおすすめです。土地の人しか知りえないレアな情報が得られるかもしれません。

参考:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)|東京都

参考:各駅の乗車人員 2020年度|JR東日本

ターゲットのニーズをつかむ

単身者向け物件には、入居者の回転が早いという特徴があります。卒業や就職、結婚などをきっかけに退去する人が多いためです。都市部の単身者向け物件は需要が高く、入居付けは比較的スムーズですが、物件に魅力がなければ空室が埋まらないかもしれません。特に居住面積の少ない狭小賃貸では、より正確に入居者ニーズをつかむ必要があるでしょう。

狭小賃貸に多いのがロフト付きの物件です。ロフトを設置すると天井が高くなるため、空間に広がりが感じられます。ロフトは荷物置き場や寝室に使えるので、居住スペースが狭くても快適に生活できるでしょう。

学生向けか社会人向けか、男性向けか女性向けか、ターゲットによってニーズは変わります。どのようなニーズがあるのかを念入りに調査・分析することで、部屋が狭いというデメリットがありながらも入居者が途切れない人気物件を目指すことができます。

女性をターゲットにするなら

女性をターゲットにするなら、オートロックや防犯カメラなどセキュリティ面の充実を最優先に考えたいところです。化粧品などを収納できるよう、デッドスペースを利用した小物入れがあると喜ばれるかもしれません。

ビジネスパーソンをターゲットにするなら

忙しいビジネスパーソンには、24時間365日利用可能なゴミ収集スペースや、不在でも荷物が受け取れる宅配ボックスが重宝されます。

仕事やアルバイトで夜更けに帰宅する人がいる場合、深夜の生活音がほかの入居者の不満につながりがちです。壁や床に防音効果のある材料を使うなどの配慮も必要でしょう。

工事費が膨らむ可能性がある

狭小地では、工事中の資材置き場や作業スペースが不足しがちです。近隣で空きスペースをレンタルするなど、通常の工事では発生しない費用がかかる可能性を考えておいたほうがよいでしょう。また、現場が入り組んだところにあって工事車両の出入りが難しい場合には、手作業で資材を搬入することになります。それだけ人手が必要になるため人件費がかさんだり、通常よりも工期が延びたりして、工事費が膨らむ可能性があります。

狭い土地や変形地でも建築可能な狭小賃貸では、土地代を安く抑えられるというメリットがあります。しかしながら、工事費が余分にかかるケースでは、トータルの建築費用は一般的なアパートとそれほど変わらないかもしれません。

狭小賃貸は審査に通る?不動産投資ローンの審査基準とは

狭小賃貸の建築・購入には、住宅ローンではなく不動産投資ローンを利用します。借入額が大きくなるため、ローンの審査に通るかどうかを不安に思う人もいるでしょう。ローン付けをスムーズに進めるために注意したい、不動産投資ローンの主な審査基準を紹介します。

収益性

住宅ローンと不動産投資ローンが大きく違うところは、物件の収益性が審査項目に加わることです。住宅ローンは個人の給与などが返済の原資になりますが、不動産投資ローンの場合は基本的には家賃収入で返済していきます。そのため、入居者が付くかどうかが危ぶまれるような物件には、融資が下りない可能性があることに注意してください。

収益性を確認する目安のひとつが利回りです。利回りにはいくつかの種類がありますが、代表的なものに表面利回りと実質利回りがあります。それぞれの計算方法は以下のとおりです。

表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100

実質利回り(%)=(年間家賃収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

諸経費は実際に賃貸経営を始めてみないと把握できません。そのため、新築の場合は表面利回りを用いることになります。

日本不動産研究所による全国の不動産投資家を対象とした調査では、ワンルームタイプの期待利回り(表面利回り)は東京で4.2%、その他のエリアで5%前後という結果になりました。同程度の値が出せる物件なら、審査は比較的スムーズに進むかもしれません。

参考:一般財団法人日本不動産研究所

資産価値

融資を受ける際、金融機関は対象となる物件に抵当権を設定します。ローンの返済が滞った場合に、担保にした土地や建物を強制的に売却して弁済を受けるためです。担保にとった物件が売れなければ、金融機関は貸したお金を回収できません。そのため、物件に資産価値があるかどうかも審査されます。

具体的な審査項目は、立地や建物の構造、耐用年数、築年数、リフォームの有無などです。

好立地であるほど土地の評価額が高いため、審査に有利だといわれています。その点、駅至近が最大のウリである狭小物件は、高い評価が期待できるのではないでしょうか。

個人の属性・資産状況

事業のためのローンだからといって、個人の属性が全く関係ないわけではありません。もし空室が続くなどして家賃が減収すれば、自己資金からの返済が必要となるためです。

主な審査項目は、職業、勤務先、雇用形態、年収、勤続年数など。その他に、現在の借入状況や自己資産の有無などもチェックされます。

すでに住宅ローンを利用している場合、返済比率に注意してください。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合のことをいいます。返済比率の基準は金融機関によっても異なりますが、30~35%ほどが一般的です。利用中の住宅ローンや自動車ローンなどに不動産投資ローンを加えた結果、基準を超える場合は融資額を減らされるか、融資そのものを断られる可能性があります。

参考>>【年収別】不動産投資ローンの借入可能額・融資可能額

狭小賃貸は都会の若者に人気の賃貸物件

今回は、狭小賃貸の人気の秘密にせまるとともに、狭小賃貸へ投資する際の注意点や、購入・建築資金に利用する不動産投資ローンの審査基準などを解説しました。

狭小賃貸の1部屋あたりの面積は、一般的なワンルームや1Kの半分ほどしかありません。

ただし、駅から徒歩5分以内の好立地にあることが多く、家賃も割安です。賃貸物件に広さよりも利便性を求めるニーズに応えたことで、アクティブに動きたい20~30代の学生や社会人からの指示を集めています。

投資対象としても魅力的な物件ですが、一般的なアパートとは特徴が異なります。投資を考える場合は不動産会社や建設会社などと十分に打ち合わせを行い、慎重に検討することが大切です。

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